コリアン凶暴映画にハマり、これまでの男はみな韓国人だという日本女子がいる。彼女らの熱狂と韓国の男性の実態について作家の山藤章一郎氏が報告する。
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殴る殴る、刺す刺す、切る。
血が噴き出し、肉が飛ぶ。
凶器は、カマ、ナタ、ハンマー、受話器、縦笛の吹き口、包丁。
コリアン凶暴映画がすさまじいエネルギーを発している。ただのバイオレンスではない。裏切りと復讐。絶望と救済。愛と狂気。突きつけるテーマは普遍で重い。
ヨン様の『冬のソナタ』に始まって、われらがカミさんどもを夢中にさせた生ぬるい一群のイケメン韓国映画ではない。スクリーンの男が女が、観客の頭をかち割る。
孤島で、因習を圧しつけられて生きてきた女が復讐鬼と化し島民を惨殺する『ビー・デビル』。借金返済で殺しを請け負い、朝鮮族自治州から韓国に密航したタクシー運転手の、追う追われるクライムサスペンス『哀しき獣』。暴力はなにもない。霧がたちこめる湖面に浮かべたボート小屋で釣り客に体を売る女の、釣り針を飲み込むただ静かで孤独な愛『魚と寝る女』。
これらの映画にハマる日本女子に会った。韓国男と秋に結婚する25歳・看護師・“か”氏と、29歳・保険事務員・“み”氏。“み”氏、これまでの男はみな韓国人だという。
ふたりとも新大久保で韓国人に声をかけ、mixiやチャット〈カカオトーク〉にメッセージを出して、相手を見つけ、まず、メル友から始めてセックスをする。
「東方神起のようなイケメンじゃなく、ごく普通でも」韓国の男なら生理的に好きになれる。韓国語にも強くなる。セフレで終わる関係がほとんどだが、“か”氏のように結婚までいくケースも多くある。
“み”氏はしかし、韓国と韓国男を全面的に信用しているわけではない。“み”氏の韓国男が好きという生理と感情につけこみ、「結婚したら韓国に住めるよ」としきりに誘う男がいた。同じことを複数の女に持ちかけていた。
「韓国の女は結婚前はセックスはしないのよ。でも、日本の女はすぐやらせる。それを韓国で聞いてきてるから、『やらなきゃソンだ』と思ってるの。そう思われても、あたしは厭じゃない。韓国男となら、すぐやりたくなります。しかも韓国男は大体、ゴムをつけない。野放図にセックスしない儒教の国だから、セックスすることはイコール妊娠・出産するってこと。中絶の意識は低いみたい」
当然、妊娠する。
「彼は悪びれずに、『W妊娠だ。産む方と結婚する』って。あたしは中絶し、もうひとりは『産みます』になった。しかし出産直前、彼は姿をくらまして帰国。彼女は、日本でシングルマザー」
それでも後悔していないという。
※週刊ポスト2012年8月3日号