『メルマガNEWSポストセブン』では、ビートたけし、櫻井よしこ、森永卓郎、勝谷誠彦、吉田豪、山田美保子など、様々な分野の論客が『今週のオピニオン』と題して、毎号書き下ろしの時事批評を寄稿する。7月27日に配信された25号では、櫻井よしこが氏登場。櫻井氏は、尖閣諸島に対してたびた干渉してくる中国に対し、「日本は覚悟が必要だ」と、注意を喚起する。
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尖閣を巡って戦いが起きても日本は中国の挑戦を退ける十分な実力を備えているというのが多くの専門家の見方である。しかし、軍事的ぶつかり合いだけを考えるのでは不十分だ。その他すべてのことに関して心の準備もしておかなければならない。中国側は考え得るおよそすべての外交的、経済的手段を駆使してくるだろう。
2010年の尖閣領海侵犯事件のときは、フジタの社員4人を突然拘束し、レアアースの輸出を止め、その他多くの日中交流を中止した。しかし、次はその程度では終わらないだろう。もっと多くの日本人が身柄を拘束されたり、中国に進出している日本企業が突然税務調査を受けたり、日本企業の労組が突然ストライキに入ったり、日中貿易が理由も示されずに突然停止されたりすることも考えられる。
外交的にも中国は日本封じ込めのためにあらゆる手を打つだろう。こうした全分野にわたる挑戦に日本国と日本人は耐えなければならないのだ。そのためにも日中の軋轢を如何にしてかわすことが出来るか、いまこそ深く考えなければならない。
中国と対峙するには、物理的に尖閣を守る軍事力を充実させると同時に、果敢に中国に価値観の闘いを挑まなければならない。中国は国際法を守らない。国連海洋法も守らない。しかし、他国の海を奪う野蛮で違法な行為は断じて許さないと、内外に明確に宣言するのだ。
なぜ、日本が中国の行動に怒るのかを中国にも国際社会にも示すために、尖閣諸島の歴史をわかり易く、発信し続けなければならない。なぜなら中国では中国の領土に突然、日本が領有権を主張し始めたというような正反対の歴史を教えているからだ。
この際、中国の人権弾圧に対しても、チベット、ウイグル、中国国内の自由を求める人々に共感を抱く日本国として、強くかつ明確な非難を打ち出さなければならない。こうした価値観の闘いこそ、最も果敢に推進していくのがよい。
日本が出来ることは、断然、多いのである。覚悟さえ固めれば、必ず、出来るのである。そのことに早く気づき、国家戦略として政府と国民が共に取りくんでいきたいものだ。