ロンドン五輪サッカー男子1次リーグで、優勝候補のスペインを破り、その勢いで見事1次リーグを突破したU-23日本代表。中でも世界を驚かせたのが、FW永井謙佑(23・名古屋グランパス)だ。50メートル5秒8の俊足を生かし、スペイン相手に何度も好機をつくり、続くモロッコ戦では決勝ゴールも決めた。
すでに海外クラブが永井獲得に興味を示していると伝えられているが、この永井の年俸が1000万円と聞いたら驚くだろうか。
Jリーグの場合、新人選手は1年目の年俸上限が700万円と決まっている。昨年入団した永井は学生時代に世代別代表の出場時間がJリーグ規定を上回っていたため、A契約である700万円からのスタートとなったが、通常の新人であればC契約の480万円からだ。永井はオフの契約更改で、年俸700万円から300万円アップし、現在の年俸は1000万円。
この“新人年俸一律制”が、選手の海外流失に拍車を掛けているという。サッカー担当記者が語る。
「Jリーグのチームは、新人獲得に年俸で差をつけられないため、『海外チームへ移籍する場合、移籍金は0円にする』などの条項をつけることで、差別化を図らざるを得ない。少し活躍するだけで、海外へ飛び立つ選手の中には、移籍金が『0円』だったという選手も少なくない。
海外のチームも、通常なら移籍金が発生するところが『0円』で済むのなら、少しでも見込みがあれば獲得する。これでは、選手にとってはプラスかもしれないが、チーム、ひいてはJリーグは没落する一方です」
永井の場合、名古屋と複数年契約を結んでいるが、その付帯条項の具体的中身まで公表されているわけではない。しかしながら、海外クラブが“草刈り場”Jリーグから、永井をはじめとした逸材たちの獲得を、虎視眈々と狙っているのは間違いないだろう。