昨年の震災以降、多額の復興予算が計上されたが、一向に震災復興は進まず、一方でほとんど関係の無い部門に復興費用が投入されている。シーシェパード対策費もその1つ。一体なぜ、シーシェパード対策費と復興予算が関係あるのか、解説する。
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昨年度予算から、南極に行く調査捕鯨に18億円、それを妨害するシーシェパード対策費に5億円がすでに使われてしまった。
理由は「石巻はかつて捕鯨の町だった。石巻の再活性化のためにも商業捕鯨の再開がしたい」(水産庁国際課)からだという。が、調査捕鯨船の母船は広島港から出港しており、石巻とは何の関係もない。
そう記者が問うと、担当者は「南氷洋に行く乗組員には石巻周辺の人もいる」「石巻出身者にはクジラを捌くのが上手な人が多い」などと、笑止千万の理屈を繰り出した。記者が「わかりました、石巻の復興と調査捕鯨費用は何も関係ないですね」と話を切り上げると、「クジラの町・石巻に、いつの日か捕鯨の復活で活気が戻ることを待ち望んでいます」と付け足す厚顔ぶりに、官僚の本領を見た。
■福場ひとみ(ジャーナリスト)と本誌取材班
※週刊ポスト2012年8月10日号