将来に備えて貯金をしなくては――そんな不安から貯金をする人は多いものの、貯金そのものができない人もいる。フリーで舞台を中心に俳優活動を続け、アルバイトをしながら暮らす山田陽子さん(32才・仮名)がその人だ。
山田さんの収入は親からの毎月10万円の仕送りとバイト代を合わせて約20万円。それなりの収入がありながら、月末には残金はほとんどゼロに近い。ついついコンビニで新作スイーツを買ってしまい、毎日460円のタバコを1箱吸い、漫画は大人買い。こんな生活によって貯金ができない。月末の銀行口座の残高は587円なんてことも。
そうした生活に拍車をかけたのが、東日本大震災だった。
「震災や津波の悲惨な状況を見て、人間、いつ何が起こるかわからないなって考えちゃいました。震災以降、水や食料の買い置きをする人も増えて防災意識が高まっていますが、私は何の用意もしていませんし、“お金の備え”もない。むしろ、お金を使う方向に走っていったように思います。大切なのは将来ではなくて、いま。不確かな将来のために、いまを犠牲にするのは理解できないんです。節約って何の意味があるんですか?」(山田さん・以下同)
さらに2014年4月に8%、2015年10月には10%となる予定の消費税。世の中的には将来に備えるために節約したり、お金を貯めようという風潮が高まっているが、山田さんはそうしたものとは無縁の生活だ。
「昨年の夏ごろ、一応、節約のために禁煙を始めましたが、3か月しか続きませんでした。そのときぐらいですかね。それ以外は気にせず、お金を使っていますね。
たまに“この先どうなるんだろう”とか“貯金がゼロってどうなの”と不安にかられますが、行動には移さないですね。今後、消費税も上がるって聞いてどうしよう、とぼんやり考えるぐらいで。自炊したほうがいいのかなとも思いますが、料理するのもなんだか面倒くさいし。まぁ、完全な甘えなんですけど。自分に甘く、甘くして生きてきました。
これじゃダメだと思いながら、どうしても面倒くさくて。いまの自分は忍耐から完全に背を向けていますね。
こんな生活なので、生活保護が話題になったときは一瞬、私も申請したら通るかなって頭をよぎりましたが(笑い)、それは違うよなって思って。たまに一攫千金を狙ってギャンブルにも魅力を感じますが、かつて勧誘でダマされて400万円の借金を背負った過去があるので、手を出すと絶対ダメになると思って、そこは封印しています」
※女性セブン2012年8月16日号