ロンドン五輪男子サッカー1次リーグの初戦で、優勝候補のスペインを破る番狂わせを演じ、その勢いでグループリーグを1位突破し、3大会ぶりに決勝トーナメント進出を決めたU-23日本代表。18人のメンバーのうち、12人がJリーグでプレーしている。優勝候補のスペインを破った選手たちだけに、年俸も高いのかと思いきや、意外なほどに低額だ。
「Jリーグが1億円プレーヤー続出で、景気の良かったのは開幕当初の1993年から数年の間だけ。今では、3000万円もらえれば十分一流プレーヤーです」(サッカーライター)
たとえば、モロッコ戦で決勝点を上げたFW永井謙佑(名古屋グランパス)は、1年目の昨シーズン、リーグ戦34試合中27試合に出場し、3得点。ナビスコ杯、天皇杯も含めれば、33試合出場7得点と、新人にしては上々の成績を挙げている。もしプロ野球なら年俸大幅増が期待できる数字だが、実際はわずか300万円アップの1000万円(推定)に留まった。
オーバーエイジでメンバー入りした28歳のDF徳永悠平(FC東京)の4500万円を除けば、年俸最高額はフル代表にも選出されているGK権田修一(FC東京)の2800万円。続いて、昨年湘南から清水へ移籍した4年目の村松大輔が1800万円、同じく昨年大分から大宮へ移籍した東慶悟が1600万円。
最低額は、齋藤学(横浜F・マリノス)と安藤駿介(川崎フロンターレ)の500万円。五輪代表に選ばれて、この額はいささか寂しいものがある。
同世代のプロ野球選手と比べると、どうか。今年23歳、1989年生まれの中田翔(日本ハム)は、今季打率2割そこそこと結果が出ていないが4500万円。唐川侑己(ロッテ)5450万円、由規(ヤクルト)6000万円と、Jリーガーとの年俸差は歴然だ。1つ上の1988年生まれになると、田中将大(楽天)の3億円を筆頭に、前田健太(広島)1億5000万円、坂本勇人(巨人)1億1000万円と、1億円プレーヤーが続出している。
なぜ、Jリーグ選手の年俸は低いのか。単純に野球と比べてサッカー人気が低いから、というわけではない。前出・スポーツライターはこう解説する。
「Jリーグには1998年に横浜フリューゲルスが消滅した苦い過去があります。それ以降、年俸の高騰が経営を圧迫するという見解が大勢を占め、一般企業に例えれば、人件費が削減されているのです」
それにしても、世界を目指す五輪代表のサッカー選手が年俸500万円では、夢がないのではないか。
【参考資料】
Jリーグプレーヤーズ名鑑2012年(NIKKAN SPORTS GRAPH)
プロ野球選手カラー名鑑2012(NIKKAN SPORTS GRAPH)