夫婦にはさまざまな愛の形がある。長年、夫の愛人問題に悩んできた長野県在住のUさん(65才)。土壇場で妻の立場を守ってくれた放蕩夫との愛の形とは? Uさんが告白する。
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夫に愛人がいると知ったのは、20年ほど前のこと。当時は子供もまだ学生で、お金のかかる年ごろだったので、怒りにまかせて離婚ということもできず、私さえ我慢すれば…と、耐えることにしたんです。
私にバレているのがわかってからは、夫も愛人の存在を隠そうともせず、堂々と連泊をくりかえし、数日帰ってこないことも。
ところが昨年、愛人宅で夫が倒れて救急車で運ばれたと、病院から連絡をいただいたんです。急いで病院へ向かいつつも、愛人と鉢合わせするのかしらと、内心ドキドキ。でも、手術室の前には誰もおらず、救急車にも付き添いはいなかったとのこと。
お相手の女性がどんなかたか知りませんが、夫から生活費の援助も受けていたようなのに面倒なことからは逃げるなんてあんまりだと、それまでの恨みが爆発しそうになりました。
幸いにも手術は無事終了。脳梗塞でした。数日後、意識がはっきりしてきた夫は、動ける左手を使って紙に「すまない」と書いてくれました。私は「愛人さんはどうしたんですか? こんなときに付き添ってもくれないなんて」というと、今度は「つきそわせなかった ここはおまえの席」と。その一言は嬉しかったですね。さんざん遊んできた人ですが、“妻は別格”という考えがあったのでしょうか。
いまは私とリハビリの毎日。息子たちは「母さんもこんなときだけ面倒みさせられて」なんていいますが、私は嬉しくて仕方がありません。やっと夫が私だけのものになったんですから。主人と最期までより添えるのは、妻である私だけなんだと思うと、妻の意地を張り通してきた甲斐があったと思ってしまいます。
※女性セブン2012年8月16日号