世界ランク1位で、ロンドン五輪でのメダル獲得が期待された水泳の北島康介(29)だが、平泳ぎ100mで5位、200mで4位に沈んだ。
スポーツライターの玉木正之氏は北島の敗因をこう分析する。
「北島は4年に1度というピークを合わせることができなかったことに尽きます。今思えば、4月に行なわれた代表選考会の時が絶頂だったんでしょう。4度目の五輪となる北島の泳法は世界のライバルに研究し尽くされ、年齢的にも下り坂ということも要因だったかもしれません。でもそれがスポーツの面白さであり、難しさでしょう」
が、こんな指摘もある。
「北島の敗因は水着で浮気したからではないか」というのは日本水泳連盟関係者だ。
2009年にいわゆる「高速水着」の着用が禁止されたとはいえ、競泳で唯一の着衣である水着は「依然としてタイムを大きく左右する要因」(同前)といわれる。また、自社製品で好成績を残せば、メーカーにとって大きな宣伝効果となることはいうまでもない。
北島は今シーズンからデサント社とアドバイザリー契約を結び、同社の「アリーナ」シリーズを着用してレースに挑んだ。メーカー関係者が声を潜めていう。
「水着に関してはこれまで“フリー”という立場の北島は、着慣れたミズノ社の製品を使用してきたが、今回はより良い条件を用意したといわれるデサントと契約した。デサントも五輪3連覇で盛り上がることを見越して勝負に出たのでしょう。ですが、ミズノを着用した寺川(ミズノ社員だから当然だが)や萩野がメダルを取った。北島もこれまで通り最もフィットする水着を使用すればよかったように思います」
いかにも「金メダル」ではなく「金」を狙った結果の失速だといいたげなのだ。
水着変更について北島に訊ねるメディアはさすがになかったようだが、もし訊かれたとしても、答えは“何もいえねェ”……かな?
※週刊ポスト2012年8月17・24日号