今回の五輪では「疑惑の判定」が続出しているが、その主役が韓国だ。
7月28日には水泳男子自由形400m予選に出場したパク・テファンが1位でゴールするも、フライングと判定されて一時は失格に。その後のコーチ陣による異議申し立てで失格は取り消されたが、パクは決勝で銀メダルに終わってしまったため、韓国メディアは「誤審の精神的ショックが大きかったのだろう」と誤審に責任を押しつけた。
同29日の柔道男子66キロ級準々決勝のチョ・ジュンホと海老沼匡の対決は今大会最大の“大逆転”となった。延長戦後の旗判定で最初は3審判全員がチョの勝ちとしたが、審判委員(ジュリー)の異議によって再判定となり、今度は3人全員が海老沼の勝ちとした。
この結果に韓国の公共放送KBSの解説者は「そんなバカなことがあるか」と叫び、「チョは勝ったんです!」と連呼。アナウンサーも「話にならない判定だ。今日のことはわが国民は必ず記憶する」と大興奮。韓国メディアの中には、「柔道宗主国の見えざる力」と“陰謀論”を唱える記事も登場。悔しさはわかるが、いくらなんでも大袈裟だろう。
同30日にはフェンシング女子エペ個人準決勝のシン・アラム(韓国)対ブリッタ・ハイデマン(ドイツ)戦で事件が起きた。
北京五輪覇者のハイデマンが延長戦の残り1秒で決勝点を奪ったが、計器の不具合で1秒を残して時計が止まっていたとして、シンはピスト(舞台)の上で泣きながら1時間にわたって“座り込み”を強行。これで3位決定戦と決勝が1時間遅れるという何とも迷惑な影響が出た(しかし韓国チームの抗議は棄却され、シンは3位決定戦でも敗れて4位に終わった)。
この「1秒事件」にスパークしたのが、柔道の実況も担当したKBSアナウンサーのチェ・スンドン氏。「もはやスポーツは神聖ではありません」と声を震わせていた。
この試合に韓国国民も過剰に反応した。ハイデマンのフェイスブックは大量のハングルの書き込みで“炎上”したため非公開にされ、オーストリア人の女性審判もツイッターで威嚇され、メールアドレスや電話番号がネットで暴露された。
さらにソウルの街頭には「シン・アラム1秒花輪」が登場し、「審判には目がないのか」などと国民の怒りを煽っている。
「韓国選手の感情むき出しの不満表明はよくあること。自国開催の1988年ソウル五輪でも露骨でしたが、今回もかなりのものです。自己中心的で周りが見えなくなる報道もお家芸です」(黒田勝弘・産経新聞ソウル駐在特別記者)
その後、シンには国際フェンシング連盟から“スポーツマン精神を高く評価”して「特別メダル」が贈られた。
※週刊ポスト2012年8月17・24日号