ワケあって別れた恋人との思わぬ再会。そして蘇る忘れたはずの恋の記憶……。フェイスブックの流行により、こんなドラマのような非日常的な出来事も今や妻たちが手を伸ばせばすぐ届く所に転がっている。
公務員A氏(45)の妻は、サッカー選手を夢見る18歳と15歳の息子を自らもパートで働きながら支える主婦。その妻がフェイスブックを始めたのは、「試合結果や写真をアップしているから」という次男が所属するチームの保護者からの勧めだった。
「初めのうちは僕にも試合の写真を見せてくれたりしてたんですけどね……」
A氏が、妻のフェイスブック上に目を疑う文字を見つけたのは1年前。
「僕は家でパソコンもあまりやらないし、妻の携帯やメールにも一切タッチしないタイプ。あのときも息子の試合結果が気になっただけだったんです。それで見よう見まねで妻のフェイスブックを開いてみたら、画面の左上に“2”という数字が表示されていて。何となくクリックしてみたら『次はいつ会おうか』という男からの新着メッセージだったんです。こんなもの見なければよかったと何度思ったことか」
それまで息子のサッカー仲間の保護者くらいしか付き合いのなかった妻は、フェイスブックを始めて以来、疎遠になっていた旧友から“友達申請”が相次いでくることをとても喜んでいたという。
「その中に、大学時代の元カレがいたんです。妻に男からのメッセージを勝手に見たことはいっていません。僕はかつて同じ職場にいた彼女を一方的に好きになり、半ば拝み倒すようにして結婚した。たぶんそのとき彼女と付き合っていたのがその元カレで、やっぱり彼のほうが好きだと離婚を切り出されるのが怖くて、いえないんです」
総合探偵社MRの調査によると、不倫の経験がある「働く人妻」は21.5%。うち相手が元カレだと答えた女性は約15%。しかし、実際にはもっと多くの既婚女性が「元カレとの不倫」を経験していると、女性の恋愛や結婚事情に詳しい作家の島田佳奈氏はいう。
「私の感覚では不倫経験のある女性のうち、元カレとの不倫は8割を占めます。
もともと女性は言い訳というか、自分の行動を正当化できる理屈を必要とする生き物。不倫に関しても、元カレと寝る分にはそれで経験人数が増えるわけでもない。多くの女性はいくら欲求不満でもセックスする相手は吟味したいと思っている。特に既婚者はヘンな男と関係して、あとあと面倒なことになると困る。そんな条件に元カレは合致するんです」
そもそも女性にとっては不倫に限らず、その相手を受け入れていいかどうか、常に不安がつきまとうもの。一度体の関係を持った元カレに対して警戒感が薄まるというのも頷ける。
フェイスブックは、そんな“安心な相手”である元カレを自動的に紹介してくれるわけだから、そこで再び繋がってしまう妻がいるのも必然かもしれない。
※週刊ポスト2012年8月17・24日号