8月1日からタレントのローラを使ったCMでリニューアルを打ち出した、たこ焼きチェーンの「築地銀だこ」。新たにメニューに加えた“特製カレーソース”や“ピリ辛五香醤”などバラエティに富んだ全8種類が6個入り各500円とワンコインで味わえるのがウリなのだが、トッピングのないレギュラーたこ焼きは、従来の「8個500円→6個500円」と実質的な値上げになった。「たこ焼きに500円は高過ぎる!」との声も広がる中、銀だこを運営するホットランドの広報担当者に価格改定の狙いを聞いてみた。
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――種類が増えてワインコインになったとはいえ、レギュラーたこ焼きの値段は上がった。
「純粋に商品が増えて個数が減ったというのではなく、8月1日を機にたこ焼きの材料になるミックス粉を替えて、よりパリッとした食感が出やすいように改良しました。従来の粉では焼き手の技術によって出来上がりの質にブレが出てしまうリスクもあったので、そうした課題もクリアにしました」
――ミックス粉の材料費も上がったということ?
「仕入れの内訳は私もよく分かりませんが……、これまでのような500円のソースたこ焼きと600円のトッピングたこ焼きという構成だと、どうしてもプラス“100円の壁”があって、特に女性のお客様を中心にトッピングに興味があっても手が出しづらいという声があったんです。そこで、少量でいろんな種類を好まれる女性も意識した今回のリニューアルになっています」
――たこ焼き1個あたりで考えると約33%の値上げになる。
「常連のお客様から『料金はそのままで個数が減って残念だ』との声が挙がることはもちろん想定していましたが、今後、より幅広いファン層、とりわけ新規のお客様を増やしていこうと考えた結果、買いやすい価格だったり、食べやすい個数だったりの基準に変更したということです」
――安ければいいという価格競争から脱却する意味合いもあるのか。
「ウチは特に競合他社もないので、どちらかというと牛丼やハンバーガーといった主食のファストフード店にいかに切り込んでいくかが永遠のテーマ。そのため、『築地銀だこハイボール酒場』といった立ち飲み店をオープンさせて、たこ焼きを酒のツマミとして認知してもらうような戦略を取るなど、さまざまな提案をしてきました」
――たこ焼き1個80円以上となると、マクドナルドの100円ハンバーガーに迫る価格だが。
「値段も含めて、たこ焼きの食べ方は皆さんの共通認識となっているからこそ、いろいろな話題に上るのかなと……。確かに牛丼が300円台で食べられる時代に何でたこ焼きが500円なんだと思われる人もいるでしょう。でも、われわれは値段というより、どんな場所で誰と食べるかといったシーンの価値も提供していきたい。例えば、1個のハンバーガーは分け合うことはできませんが、たこ焼きなら1舟を数人でシェアできます。そこにバリエーションがあれば会話も弾みますよね」
――たこ焼き文化に新しい価値を持たせる戦略か。
「日本人でたこ焼きが嫌いな人は滅多にいないと思いますが、あくまで間食ですし、最近では自宅でたこ焼きパーティーなどを開く人も増えて、わざわざ外で買わなくてもいい食べ物なのかもしれません。だからこそ銀だこは“和のファストフード”を追求していろんな味や会話のきっかけとなる場の提供をしていこうと考えています」