中国経済の先行きに暗雲が広がるなかで、次のリーダーである習近平氏の経済政策にはますます注目が集まるが、その習氏とそのファミリーはかなりの資産家である。ジャーナリスト・相馬勝氏がその内訳を解説する(文中敬称略)。
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北京の中国筋によると、習近平は経済区構想のために、台湾や香港、欧米の外資の誘致を企図しているという。問題は、そこに親族・ファミリーの影がちらつくことだ。
習近平には姉が2人おり、長女夫妻は複数の会社を経営し、北京や深セン、香港を拠点に不動産関連を中心としたビジネスを展開。次女夫妻はカナダに居住しカナダ国籍も取得していながら、中国の国内事業に出資して巨利を得ているという。また、習近平の弟・習遠平は中国に返還される前から香港に移住しており、北京に本部を置く国際環境団体の会長に就任している。だが、それは多分に名誉職的な肩書で、その行動には謎が多い。
彼らは「次期最高指導者」である習近平のファミリーとして、さまざまなコネクションを使いながら手広くビジネスをしていることが分かっている。これまでその実態は闇に包まれてきたが、最近、金融・経済情報専門通信社「ブルームバーグ」や香港メディアなどが報じた情報を総合すると、習近平ファミリーの総資産は少なくとも420億円を下らないことが分かってきている。
まず、最も活発なビジネス活動を展開しているのが習近平の一番上の姉、斉橋橋(チー・チャオチャオ)と、その夫の鄧家貴(トン・チャクイ)夫妻だ。鄧夫妻は2人で11社の企業のオーナーであり、そのほかに少なくとも25社の重役として経営に携わっている。
夫の鄧家貴は深センにある投資会社の深セン遠為投資の会長を務め、この資産が18億3000万元(約229億円=2011年12月現在)。さらに、同社の関連会社の資産が5億3930万元(約67億円)に上る。加えて、彼はこれらの企業を通して、江西省にあるレアアース生産・販売会社の江西レアアースの株式18%を所有しており、それだけで4億5000万元(約56億円)に上る。
夫妻はさらに、北京で不動産会社の北京中民信房地産開発を経営しており、妻の斉橋橋が会長、鄧家貴が社長に納まっている。同社ホームページによると、同社は2001年8月9日創設で、資本金5000万元(約6億2500万円)。ちなみに同社が開発した北京の一等地に建つマンションのうち、面積が189平方メートルで、3ベッドルームの物件は1500万元(約2億円)で売りに出されているという。
さらに、鄧家貴夫妻の一人娘夫婦が北京の電機会社の株式1億2840万元(約16億円)を所有しているほか、鄧夫妻や娘夫婦は香港に、3150万ドルの豪邸と6件の不動産物件、計2410万ドルを所有していることが分かっている。このほか、鄧家貴名義で中国有数の不動産会社、大連万達商業地産の株式を3000万元分保有。これらの資産をすべて合わせると、中国人民元分では約30億元(約375億円)、米ドル分は5560万ドル(約45億円)で、合計420億円に達する。
※SAPIO2012年8月1・8日号