料理教室の生徒を多数かかえ、テレビや雑誌に引っ張りだこの“登紀子ばぁば”こと、料理研究家の鈴木登紀子さん(88才)。そんな鈴木さんが、料理をするのが面倒くさい時に重宝するおいしい“常備菜”の作り方を教えてくれた。
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暑い日が続きますと、食欲が落ちるだけでなく、お料理をするのすら億劫になることがございますね。ひとりのお昼どきなどはなおさら、さっと済ませたくなります。今回は、そんなときにも重宝する、とっておきの常備菜をご紹介しましょう。
私が欠かしたことがないのはちりめんじゃこ、青のり粉、ゆかり粉、抹茶。さらに時間のあるときに、焼きのりを細かくちぎって缶に入れておいたり、白ごまを焦がさないようにふっくらと炒って瓶に詰めておきます。また、梅干しの種を抜いて包丁でトントンとたたき梅にして密閉容器へ、塩昆布は細く切って保存しておきます。
市販のものも多種多彩に出回っておりますが、やはり手作りの味は格別なもの。常備菜こそ、その家庭の味わいを大事にしていただきたいとばぁばは思います。
それから、甘塩鮭の切り身が安く手にはいりましたら、ふりかけとしても便利な「鮭のほろほろ」はいかがでしょう。
甘鮭は焦がさないようによく焼いて皮と骨を除き、手で細かくほぐします。これをすり鉢に入れてよくあたると、きめ細やかに仕上がります。次に鍋に入れて、酒を少々振り入れ菜箸4~5本を使って、弱火でほろほろと炒りつけてください(ときどき鍋底を濡れ布巾にあてて冷ましながら炒ると、焦げつきません)。
ふんわりしてきたらバットなどに空けて冷まし、香りよく炒った白ごまをたっぷり加えて混ぜます。3切れもあれば、ジャムの空き瓶にちょうど1杯半ほどできあがります。
「鮭のほろほろ」は大根おろしに混ぜてもおいしいですし、しょうがのせん切り、もみのりと和えてご飯にのせれば、酒席の〆にもぴったりです。これに、たたき梅とちりめんじゃこ、あさつき、塩昆布などをお椀に入れてお湯を注いだお吸いものと香のものを添えて供すれば、常備菜が気の利いた“献立”に大変身です。
※女性セブン2012年8月16日号