昨年の震災、原発事故をはじめ、消費税増税や、年金などの社会保障制度の問題…。将来を考えれば、不安なことばかり。節約して備えなければと思っている人が多数派だろう。その一方で、稼ぎは少なくてもお金を使い切る人もいる。収入はそこそこあるのに、なぜか貯金だけはできない。
一体どうしてなのか。大阪人間科学大学・人間科学部健康心理学科准教授の柏尾眞津子さんに話を聞いた。
「人間にはいまは我慢をして未来に備えようという未来志向の人、いまさえよければいいという刹那主義の考え方の人、いまを大切に生きていこうという意味での現在主義の人という3タイプがあります。
昨今は、昨年の震災に加え、消費税増税や年金問題、生活保護問題などわれわれの不安を増大させるような問題が山積みです。そんな不透明な時代なので、未来に期待が持てず、なるようになる、いまを生きようという刹那主義や現在主義の考え方をする人が増えているのではないでしょうか。
そういった人の中にはある意味、流れにまかせて、いまを充実させようというポジティブな姿勢もあるように思えます」
そして、バブル経済を経験したいまの40代は、こうした貧困状態に陥りやすいとも、柏尾さんは指摘する。
「何事も用意周到に備えなくてはいけないと心のどこかでわかっていても、バブル経済を経験している世代は“なんとかなる、またあの時代がくるんじゃないか”と思ってしまう傾向があるといえます」
※女性セブン2012年8月16日号