週刊ポストは次の総選挙の目玉とされる橋下徹・大阪市長が塾長の『維新政治塾』の塾生リストを入手した。総人数は888人(男性785人、女性103人)、最高齢は72歳、最年少は25歳だ。
本誌は名簿に記載された人物に連絡を取った。
ある地方議員は、「喋るなといわれているので名前は出さないでくれ」と断わった上で、「維新政治塾に入っているのは事実。番号は塾の受験番号で、塾内では名前ではなくもっぱら番号で呼ばれます。(あなたは××番ですね、と尋ねると)その通りです。住所も合っています。その名簿の情報に間違いはない」
と答えた。別の地方議員は、「名簿が出回っているという噂は聞いていた。官邸も持っているらしいですね」といい、やはり自らの番号や住所が正確だと認めた。連絡先が判明した数十人に無作為に連絡をとったが、「塾生ではない」との返答は一人もなかった。
この名簿で目に付くのは地方議員の多さだ。全国から現職地方議員が参加している。
「選挙の仕組みやルールを把握している地方議員は、候補者として即戦力。一定の地盤を持つため、維新の会のサポートも最小限で済む。国政転身を希望する人物が多く、彼らにとっても“橋下”の看板はメリットが大きい」(維新の会関係者)
維新の会に籍を置く人物に加えて、維新の会と“友党関係”にあるみんなの党や減税日本、日本創新党の関係者が多いことも特徴だ。同塾に参加した、みんなの党所属の地方議員が明かす。
「みんな、創新党、減税日本に所属する現職地方議員は基本的には選抜されると聞いています。当初、渡辺喜美さん(みんなの党代表)は“どんどん入れ”といっていたのですが、みんなの党との選挙区調整が微妙なため、辞退した人もいるようです」
備考欄には「小沢一郎政治塾出身者」も名を連ねている。中央政界では「第3極の主導権」を巡って駆け引きが行なわれているが、維新の会が「非・民自公」、いわゆる「オリーブの木」の苗木となる可能性も秘めているといえよう。
橋下氏が敵視する公務員や大メディアからの参加者が少なくないことも興味深い。多くは地方自治体の職員だが、厚労省や国交省、東京・大阪のキー局の現職もいる。脱原発を掲げる橋下氏だが、驚くことに原子力安全・保安院の職員も塾生となっていた。
ある橋下ブレーンは、「20代から40代の公務員やマスコミ人には、橋下改革賛同者が多い。既成の仕組みに矛盾を感じる人々の参加は予期されていました」と胸を張った。
※週刊ポスト2012年8月17・24日号