テレビがつまらなくなったといわれて久しい。同じ顔ぶれのタレントがバカ騒ぎに興じるバラエティや、代わり映えのしない娯楽情報番組には飽き飽きしている読者も少なくないだろう。だが、視聴率こそ高くはないが、珠玉といえる掘り出し物の番組はまだまだある。テレビ業界人もお勧めする報道・ドキュメンタリー番組を3つ紹介しよう。
【1】「ニュースモーニングサテライト」(テレビ東京系:平日5時45分~6時40分)
金融関係者や個人投資家が注目する、株式情報に力を入れた番組。
「米国市場が閉まる時間帯からオンエアされるため、日本の夜中に起きた金融市場に影響する米国内の話題を参考にでき、これから開く国内市場への対策を練ることができる」(大手銀行員)
話題は金融に留まらず、早朝にチャンネルを合わせるリタイア世代向けのニュースも豊富だ。例えば、団塊の世代が支えてきたゴルフ産業は、2015年に世代がすべて65歳を超え、市場が急速に縮むと予測し、「プレー代500円」のゴルフ場など、業界の取り組みを紹介する。
「リタイア世代は退職金を積極的に運用している。金融や経済ニュースに、高齢者層に役立つという視点を盛り込むよう心掛けています」(村井正信・チーフプロデューサー)
【2】「生きるを伝える」(テレビ東京:土曜20時54分~21時00分)
登場するのは病気やけが、障害を克服した人々。ある日の放送では、俳優の小西博之氏が、2004年に末期の腎臓がんを告知され、5年後生存率2%、余命3か月と診断される。しかし闘病中は「治ったら何をしよう」とあえてプラスに考え、見事病を克服。講演活動などを通して生きる感謝を伝えている。
6分の枠で実質は放送時間わずか2分30秒。制作者は「いつも番組をどう見せるか苦労する」というが、闘病時の写真と克服後の本人映像による語りは、それだけでも今、病気に苦しむ人々を元気付けるメッセージだ。
【3】「人生の楽園」(テレビ朝日:土曜18時00分~18時30分)
「単なる定年という線引きではなく、“アクティブシニア”として第2の人生を積極的に生きる人々の姿を追っていくところがいい」(50代会社員)
7月14日放送回では、「過疎地に貢献したい」と富山県で山林整備の仕事に就く64歳の男性と31歳の妻が主役。地元の子供のために木工教室を開いたり、村の人々も郷土料理を教えたり、地元に根付いて生き生きと暮らす姿は、やがて来る自分の第2の人生も前向きに捉えることができる。
「定年だけでなく、リストラや病気などマイナスな第2の人生のスタートであってもポジティブに受け止め、生きる方々を紹介していきたいです」(朝本香織・チーフプロデューサー)
※週刊ポスト2012年8月17・24日号