「逆サイド空いてる! 中央空いてる! 中央空いてる! あ~~~ダメかぁ~~~!」
「もう終わりにしろ!! レフェリ~~~!!! はい終わったぁ~~!!!」
この字面を見て、ほとんどの人はサッカー解説者・松木安太郎氏の叫び声を想像したのではないだろうか。だが、この絶叫は、7日未明、ロンドン五輪女子サッカー準決勝の日本対フランスで、ラジオの解説を務めた長谷川健太氏(元清水エスパルス)のものだ。
現役時代はFWとして、Jリ―グ開幕当初の清水エスパルスを牽引。1993年、初のW杯出場を直前で逃した“ドーハの悲劇”と語り継がれるイラク戦では、先発出場するなど、日本代表としても活躍した。1999年限りで引退後、2005年からは古巣・エスパルスの監督に就任。6年間の監督生活で、リーグ制覇こそ達成できなかったが、天皇杯準優勝2回、ナビスコ杯準優勝1回という成績を残し、リーグ戦でも安定して上位をキープした。
監督退任後はNHKのBS1でサッカー解説者を務める長谷川氏に、なでしこジャパン五輪準決勝の解説という大役が回ってきた。今大会、日本の“絶叫神”松木氏は現在のところ、五輪解説の出番なし。この10年ほど、日本代表の試合をほぼ解説してきた松木氏の不在は、一部のサッカーファンにとって、大きな痛手となっていた。ファンいわく、「松木の絶叫がないと盛り上がれない」というのだ。
だが、この非常事態に立ち上がったのは、意外にもNHK解説者の長谷川健太氏だった。このフランス戦の大一番では、日本が猛攻を受けた試合終盤、健太の絶叫もピークに達した。
ピンチを迎えると、「危ない! 危ない! あぶな~~~~い!!」と松木氏ばりの叫び声で、なでしこを鼓舞。GK福元がシュートを防げば、「よく取った! よく取った! よく取った!」と、これまた3回連呼。
ロスタイム直前、カウンターからFW大儀見が抜け出し、チャンスを迎えると、健太の興奮のボルテージは頂点に達した。
「いけ~~、大儀見!!」と声援を送り、アナウンサーよりも先に、「キーパーと1対1!!」と実況。すると、輪唱するように、アナウンサーも、「キーパーと1対1!!」と叫ぶ。
健太はその声を聞くか否かというタイミングで、「あ~~~外れた~~~~」と落胆。アナウンサーは健太絶叫の直後に、「ポスト~~」とフォローを入れた。
「アナウンサーより早く実況してしまったのは、FW特有のゴール前での反応の速さを抑えきれなかったからではないでしょうか」(スポーツライター)
表示されたロスタイム4分が残り数秒になると、「5、4……」と数え始め、4分を過ぎても笛を吹かない審判に対し、「もう終わりにしろ!! レフェリ~~~!!!」と絶叫。すると、直後に審判は試合終了のホイッスルを吹き、「はい終わったぁ~~!!!」と喜びを爆発させていた。
サッカーファンの間からは「松木に代わる新たな“絶叫神”誕生!」と絶賛の声が上がっている。