国内

いじめ問題 私立では行政指導も困難で表沙汰になりづらい

 滋賀県大津市の中2男子の自殺事件を発端に、全国各地で明らかになってくる中学校でのいじめ問題。それらの多くが公立中学校で起きたもので、私立では、たとえそれがどんなに悪質なものであっても、表沙汰にならないことが多いという。教育評論家・小宮山博仁氏がこう指摘する。

「私立の場合は、都道府県などの地方公共団体から補助金をもらっているとはいえ、基本的には生徒たちから集める学費で学校経営を行っています。ですから、公立の学校のような報告の義務もなければ、行政から直接、指導を受けることもあまりありません。もともと公教育ではできないことをするのが私学建学の重要な精神ですから。

 従って、刑事事件に発展するような事例ではないかぎり、公にしたくないという気持ちが本音でしょう。問題が起こって親が訴えたとしても、その親を説得して、学校内で解決しようとする傾向があります」

 私立では多かれ少なかれ、いじめは公表されず、揉み消されるケースが多いということか。

 ただし、私立だとはいっても学校法人である以上、所在自治体は監督、指導権を持つ。その立場にあたる東京都文化局私学部に話を聞くと、こんな回答が返ってきた。

「学校設置の認可や補助金の用途などの会計的指導はしておりますが、私立校はそれぞれの学校法人が経営者のため、教育内容について、行政として、あれこれ指導する権限はありません。これは私学法で定められているんです。ただ、いじめ問題などで保護者から話や要望があれば、学校側に“実はこういう話がこちらに来ております”と情報提供して、対応してもらうようにしています」

※女性セブン2012年8月23・30日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

渡邊渚さんの最新インタビュー
元フジテレビアナ・渡邊渚さん最新インタビュー 激動の日々を乗り越えて「少し落ち着いてきました」、連載エッセイも再開予定で「女性ファンが増えたことが嬉しい」
週刊ポスト
裏アカ騒動、その代償は大きかった
《まじで早く辞めてくんねえかな》モー娘。北川莉央“裏アカ流出騒動” 同じ騒ぎ起こした先輩アイドルと同じ「ソロの道」歩むか
NEWSポストセブン
「地毛なのか?」尹錫悦・前大統領罷免で迎える韓国大統領選 与党の候補者たちが泥沼の舌戦 「シークレットブーツか」「眉毛をアートメークしている」と応酬
「地毛なのか?」尹錫悦・前大統領罷免で迎える韓国大統領選 与党の候補者たちが泥沼の舌戦 「シークレットブーツか」「眉毛をアートメークしている」と応酬
NEWSポストセブン
主張が食い違う折田楓社長と斎藤元彦知事(時事通信フォト)
【斎藤元彦知事の「公選法違反」疑惑】「merchu」折田楓社長がガサ入れ後もひっそり続けていた“仕事” 広島市の担当者「『仕事できるのかな』と気になっていましたが」
NEWSポストセブン
「地面師たち」からの獄中手記をスクープ入手
【「地面師たち」からの獄中手記をスクープ入手】積水ハウス55億円詐欺事件・受刑者との往復書簡 “主犯格”は「騙された」と主張、食い違う当事者たちの言い分
週刊ポスト
お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志(61)と浜田雅功(61)
ダウンタウン・浜田雅功「復活の舞台」で松本人志が「サプライズ登場」する可能性 「30年前の紅白歌合戦が思い出される」との声も
週刊ポスト
4月24日発売の『週刊文春』で、“二股交際疑惑”を報じられた女優・永野芽郁
【ギリギリセーフの可能性も】不倫報道・永野芽郁と田中圭のCMクライアント企業は横並びで「様子見」…NTTコミュニケーションズほか寄せられた「見解」
NEWSポストセブン
ミニから美脚が飛び出す深田恭子
《半同棲ライフの実態》深田恭子の新恋人“茶髪にピアスのテレビマン”が匂わせから一転、SNSを削除した理由「彼なりに覚悟を示した」
NEWSポストセブン
保育士の行仕由佳さん(35)とプロボクサーだった佐藤蓮真容疑者(21)の関係とはいったい──(本人SNSより)
《宮城・保育士死体遺棄》「亡くなった女性とは“親しい仲”だと聞いていました」行仕由佳さんとプロボクサー・佐藤蓮真容疑者(21)の“意外な関係性”
NEWSポストセブン
過去のセクハラが報じられた石橋貴明
とんねるず・石橋貴明 恒例の人気特番が消滅危機のなか「がん闘病」を支える女性
週刊ポスト
万博で活躍する藤原紀香(時事通信フォト)
《藤原紀香、着物姿で万博お出迎え》「シーンに合わせて着こなし変える」和装のこだわり、愛之助と迎えた晴れ舞台
NEWSポストセブン
「地毛なのか?」尹錫悦・前大統領罷免で迎える韓国大統領選 与党の候補者たちが泥沼の舌戦 「シークレットブーツか」「眉毛をアートメークしている」と応酬
「地毛なのか?」尹錫悦・前大統領罷免で迎える韓国大統領選 与党の候補者たちが泥沼の舌戦 「シークレットブーツか」「眉毛をアートメークしている」と応酬
NEWSポストセブン