人生でマイホームに次ぐ高額商品といわれるのが、生命保険。にもかかわらず、生保の仕組みについて正しく理解している人は少ない。たとえば、同じ保障内容の商品でも、生保によって保険料が違うのはなぜか。その秘密は保険料の仕組みにある。
本来、加入者の性別と年齢と健康状態が同じであれば、保険会社が保障のために準備すべき金額は同じになる。これを保険料の原価=純保険料という。ベストセラー『生命保険の「罠」』(講談社刊)の著者で、「保険相談室」代表の後田亨(うしろだ・とおる)氏が解説する。
「販売価格が異なる理由は、会社ごとに保険を売るための経費=付加保険料が違うから。経費とは販売手数料、人件費、CM宣伝費などです」
大手生保の商品は営業コストがかさむので高くなり、ネットや通販でしか扱われない商品は安くなる傾向がある。その分、保険料の高い会社は対面販売やアフターサービスをウリにするケースも多い。後田氏が続ける。
「営業担当者が一生涯面倒を見ると謳う生保でも、調べてみると営業職員の平均勤続年数は10年以下でした。アフターサービスが行き届く保証はないということで、保険においては商品の安さこそ一番のサービスです」
安い会社を見分けるコツのひとつは、ネットで見積もりができるかどうかだ。口頭での説明や資料請求をしないと正確な金額がわからないなら、価格競争力に自信がないことの表われといえる。
※週刊ポスト2012年8月17・24日号