ラジオ体操といえば、夏休みの小学生のもの、という気もするが、最近では『実はスゴイ!大人のラジオ体操』という本がベストセラーになるなど、大人の間でも人気となっている。とはいえ、度が過ぎた「ラジオ体操信仰」は困りモノ。パート勤務のKさん(50才)の夫も過剰なラジオ体操信者だという。Kさんが、夫のラジオ体操バカっぷりを暴露する。
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「ほーら、見ろ。なっ。オレがいった通りだ。ラジオ体操のよさにみんな目覚めたんだよ」
夏の初めからダンナ(51才)は威張りっぱなしなの。病弱だった兄がラジオ体操を始めてからみるみる健康になって、高校では走り幅跳びで県大会準優勝した、というのはお決まりの話。
「オレはラジオ体操の効果を子供のころからこの目で見てきたんだ」
結婚してから30年近く耳にタコができるほど聞かされている話だけどさ。最近は書店の前を通るたび『実はスゴイ!大人のラジオ体操』という本を手にとり大声で、「オレの思いが一冊の本になったってワケだな」ってあんたが書いたんじゃないでしょ!
でもダンナはこの町では“体操おじさん”としてちょっとした有名人。知らない人が聞いたら本気にするって。
7、8月は、毎朝、近所の運動公園で体操の手本を見せるのがダンナの日課。朝、5時半に起きて「起きろ~っ。早起きは三文の得だぞ」だの「ラジオ体操に行くぞ」だの大騒ぎ。
子供も小さいころはダンナにつきあっていたけど、あるとき「パパ、ヤダ」って娘が泣いて帰ってきたの。ダンナの大昔の体操着に紅白のリバーシブルの布キャップ姿が恥ずかしいって。それでもダンナは「ふんっ。ジャージーなんて軟弱なもの着て、正しい体操ができるか」っていい張ってる。
はあ~~~。あの人、長生きしそうだわ。
※女性セブン2012年8月23・30日号