政治家や作家など数多くの著名人が別荘を所有し、全国屈指の避暑地として知られる長野県・軽井沢町。最近ではあの大富豪、ビル・ゲイツ氏まで軽井沢に別荘建築の触手を伸ばしているとの噂が広がるほど、そのネームバリューは変わらず健在といえる。
しかし、富裕層しか住めないと思われていた軽井沢に異変が起こっている。
「長引く景気低迷で、坪単価が50万円以上もするような一等地の別荘は売れません。県内で最高路線価を誇っていた旧軽井沢銀座通り(軽井沢町)も4年前に上昇した後は3年連続で下落しました。そんな状況下で、1000万円以下と安い価格帯の中古別荘に人気が集まっています。より中心市街地に近く、築年数の新しい物件から売れていきますね」(長野県内の不動産販売業者)
リゾート販売大手の東急リゾートのホームページをのぞいてみても、一戸建て別荘は「2LDK/67.9平方メートル/600万円」や、中心地から比較的近い中軽井沢でも「2LDK/66.2平方メートル/1350万円」など、サラリーマンでも背伸びすれば手が届きそうな額の物件が紹介されている。
憧れでしかなかった軽井沢もここまで身近になった。実際に購入しているのは、どんな人たちなのか。
「定年後の移住も視野に入れた40代、50代といった現役のサラリーマンが多く、中には昨年の東日本大震災による原発事故の影響を恐れて都内から一家で移り住んできた人もいます。会社には新幹線で通っているそうですよ」(前出・不動産業者)
朝晩は冷房要らずの涼しさのため、「節電対策」の理由で別荘を購入するファミリーも多いという。
ただ、価格の問題はともあれ、草むしりなど所有物件は管理も大変だという人には、別の手段で軽井沢ライフを手に入れることもできる。
「大手デベロッパーの中にはリゾートマンションに食事やプールなど娯楽施設のサービスをつけた会員制ホテルにしているところもあります。ホテル1室の所有権を10口ほどに分割して販売(1口500万円程度)し、ユーザーになると1泊2000円など安価で利用できる制度です」(経済誌記者)
夏の軽井沢を訪れるなら、別荘巡りも一興だ。