日本人は「ムダな生命保険に入りすぎている」といわれる。実際、世界の保険料総額の世界市場占率は約1.3億人ながら17.5%を占め、人口約3億人のアメリカの20.1%と比べれば一人あたりの生命保険料は多い。かといって、すべての保険がムダかといえば、そんなことはない。
貯金も少なく、妻の就労も期待できない。子供が大きくなるまではどうしても大型の死亡保障が必要な世帯ならば、「収入保障保険」のパフォーマンスは高い。
33歳で収入保障保険に加入したという、やり手の保険営業マンA氏の実例で見てみよう。A氏は、60歳までの保障期間に万が一のことがあった場合、60歳まで年間300万円の保険金が家族に支払われるものを選択した。それぐらいあれば、遺された家族が安心して生活していけるという判断だ。
33歳時点でA氏が亡くなった際の保険金総額は「300万円×27年間」で8100万円の保険金が支払われる計算になる。それが、50歳で亡くなったとすると「300万円×10年間」だから保険金は3000万円に減る。
子供はどんどん大きくなりそのうちに独立するわけだから、保険金の額が下がっていくことは理にかなっている。収入保障保険では、それに伴って毎月の保険料も下がっていくのでリーズナブルなのだ。また、要介護状態になって働けない場合も保障されることは大きい。
さらに、健康な人の保険料を低く設定している商品が多いことも特徴だ。たとえば、ソニー生命の「家族収入保険」やNKSJひまわり生命の「家族のお守り」などでは、非喫煙者で健康状態が条件に合う人は、保険料が3割前後割引される。ちなみに、加入後は喫煙しても太ってもオーケーだ。
喫煙の有無のチェックは保険会社の職員が唾液検査を行なうので、ネット生保など営業職員を持たない保険会社では優良体(健康体)割引がない場合が多い。
比較的最近に登場した保険であり、まだまだその仕組みを知らない人も多い。大きな死亡保障が必要で、かつ保険料を抑えたい世帯は加入を検討してもいいだろう。
※週刊ポスト2012年8月17・24日号