中国政府は今年上半期で、偽の薬を製造・販売していたとして約2000人を逮捕し、約11億7000万元(約145億6000万円)の偽造薬品を押収した。古くなった薬品の箱やビンを病院関係者から買い入れて、そこに偽の薬品を入れるなど悪質な手口も多く、偽造薬品を飲んで命を失った患者も多くいるとみられ、中国政府は今後も徹底的に取り締まっていく方針だ。
中国国営の新華社電などによると、中国当局は今年に入って捜査員1800人を投入して、偽の薬品の製造工場や販売の現場など200カ所以上を家宅捜索し摘発を続けてきた。この結果、偽の薬品の製造に関わっていた約200人と、密売のシンジケート団1800人を逮捕した。
中国の医薬品市場は年間2000億元(約2兆6000億円)とみられるが、その6分の1に当たる300億元(約3900億円)は偽物だ。
中国当局は違法薬品製造を通報した者には5万元(約65万円)の賞金を出す一方で、悪質な偽造団には最高で死刑判決を下すなどの法改正を行なうなど、“アメとムチ”の硬軟両様の対策をとっているが、偽の薬品製造のコストは安く製造できて高く売れるため、一向に減らないのが現状だ。これは、インターネットでの薬品の取扱量の急増も背景にある。
また、欧州連合(EU)が先月下旬、発表したところによると、加盟国内で昨年1年間で摘発・押収された偽造・模造品13億ユーロ(約1256億円)のうち、4分の3は中国製品で、そのうち、偽の薬品が最も多く、全体の4分の1を占めている。薬品の多くはダイエット薬やバイアグラなどで、痛み止めや抗うつ薬、抗生物質なども多いという。
EUによると、中国内同様、偽の薬品はインターネット取引で売買され、その大部分が郵便局で発見されており、これまで主に港湾の税関で押収されたのに比べ、販売ルートに大きな変化がみられるという。