昨今、「無縁社会」という言葉が流行語大賞候補にノミネートされるなど、高齢者の孤独死が社会問題としてクローズアップされている。ニッセイ基礎研究所の調査によれば、死後4日以上経過して発見された65歳以上の高齢者は年間で1万5000人にも上る。
そのような社会的背景をもとに、賃貸不動産に関連する保険商品を専門に取り扱う「日本住宅少額短期保険」が新商品を開発した。孤独死した場合の部屋の原状回復費用や残事物の撤去費用などを保険金で支払う保険「新・みんなの部屋保険(仮)」をこの10月1日から発売する予定だ。
2年間の保険期間で保険料は1回払いの1万2000円。自殺と他殺ではない室内での死亡によって、部屋が汚れるなどのトラブルが発生した場合、処理に必要な経費が保険金として支払われる。通常、保険金の受取人は法定相続人や親族に限られるが、第三者である貸主が保険金を請求できるのが、この商品の最大のポイントだ。同社の担当者がいう。
「アパートやマンションの大家は独居の高齢者の受け入れを嫌がる傾向にあります。孤独死した場合、その処理にお金がかかるという懸念があるからです。今後、少子高齢化が進むと、こういった高齢者の住宅の問題はますます深刻になる。この新商品を高齢者、独居者を積極的に受け入れるツールとして、事業者、入居者ともに積極的に使っていただきたいと思っています」
※週刊ポスト2012年8月17・24日号