五輪も終わってしまいましたが、1万km離れたロンドンよりも、なぜだか遠くに感じる夫や子供との距離――そんな奥様のために、私、綾小路きみまろが日ごろの鬱憤を吹き飛ばしてしんぜましょう。笑いで満たされたなら、とがってばかりだった家族への感情も、ぐっと丸くなるはず。
奥様、ダイエットなんか必要ありません。中高年にダイエットは必要ないのです。“脂肪”なんか、増えても役所に届けるだけで済みます。「“死亡”届ですね」と受理してくれます。
特に、ブスはやせても、やっぱりブスです。中高年、手鏡そ~っと覗いても、ブスはブス。体重計、そ~っと乗っても、デブはデブ。
水を飲んだだけでも太る世代。深呼吸しても太る世代です。肉屋の前を通っただけでも太る世代なのです。御愁傷様なのです。
お腹が出てたっていいんです。健康的じゃないですか。お尻が大きくてもいいの。座布団がいらないんだから。脚が短くてもいいんです。すぐ立てるから。
ところが、そんな自分を棚に上げ、出るのは夫の愚痴ばかり。
「何でこんな男と結婚したんだろう、私」
でも、奥様、若いころは心が通じ合っていたのです。お料理ひとつとってもそうです。心をこめて作っていたのです。「あなた、一緒に食べましょうよ」。それがいまは「ご飯? 先にすませちゃったわよ。おかず? 昨日の残り物が冷蔵庫にはいってるはずだから」。
中高年、鼻で確かめる賞味期限。「大丈夫、大丈夫」といって自分は食べず、ご主人には食べさせます。
お風呂だって、ふたりではいっていたんです。「あなた。一緒にはいりましょう」。しかし、いまはふたりでははいれなくなったのです。ふたりとも太ったのです。
※女性セブン2012年8月23・30日号