ロンドン五輪の男子サッカー3位決定戦で、「独島(竹島の韓国名)は我が領土」というメッセージボードを掲げた韓国選手への銅メダル授与が保留になった。日本からすれば「そこまでしなくても」と苦笑するだけなのだが、確かに最近、「独島パフォーマンス」は過熱の一途をたどっている。
そもそも、今回の騒動は李明博大統領がわざわざサッカーとバレーの日韓戦の前に竹島を訪問したのが発端だった。国家元首が国民を焚きつけるのだから何をかいわんやである。
これに触発されたのか、8月15日、韓国人歌手らが泳いで竹島に渡るというパフォーマンスを行なった。
メンバーは韓流スター、ソン・イルグクのほか、竹島の広報大使として領有権主張運動を世界で行なっているキム・ジャンフン、大学教授、韓国体育大の学生40人ら。テレビカメラの前ではシンクロをしたりもしながら、半島側から竹島までの220kmをリレー形式で約50時間かけて泳いで渡った。
彼らが「光復節」と呼ぶ8月15日午前に竹島に上陸し、「独立軍愛国歌」を合唱。「独島水泳横断で国民に独島愛と独島は韓国領土という不変の真実を再確認させる」のが狙いというが、こんな大げさなパフォーマンスで確認しなければならない、ということは、そんな認識が世界のどこにも浸透していないことを逆説的に明示している。
同様の“布教活動”は水泳だけではなくバイクもある。2006年に最初の隊が結成された「独島レーサー」だ。独島サークル(こんな部活動が存在することも驚きだが)に所属する大学生が、独島の領有権を主張しながらオートバイに乗ってヨーロッパ、アジアなど世界30か国以上を巡回。その過程では交通事故でメンバーが1人死亡するなどの犠牲も払ってはいるが、やはり成果はでていない。
ソウル市内では、7月下旬に上演された『教授と女生徒2』なる演劇が話題を呼んだ。タイトルに独島の文字はないが、問題はその中身。女優のオム・ダヘ演じる女生徒が服を脱ぐと、ブラジャーとパンティの代わりに日の丸を身につけている。それを教授がひっぱがして女生徒を全裸にし「独島は私たちの土地だ!」と叫ぶシーンがクライマックスだったのだ。
まさになんでもアリという感じだが、こうした仰天アピールは枚挙に遑(いとま)がない。
2006年のワールドベースボールクラシックで見られたのは、スタジアムで韓国人サポーターが「独島はわが領土」を歌う光景だ。スポーツ観戦に政治を持ち込むのはもはや当たり前。韓国チームはさらに、試合後のマウンドに韓国旗を立てるパフォーマンスを行なうなど、マウンドを独島に見立てたのかもしれないが、およそスポーツマンらしからぬ振る舞いは米国内でも顰蹙を買った。
スポーツといえば、2011年8月には大韓バスケットボール協会が竹島の船着場で「独島愛 優秀高校バスケット大会」を開催。試合はハーフコート3人制で行なわれ、4校が参加。竹島でのスポーツイベントはこれが初めてだというが、観客もあまりおらず、なかなかシュールな大会だったようだ。
スポーツ選手に負けじと、アーティストたちも独島パフォーマンスを競っている。
昨年3月には、韓国人のタトゥーイストが対馬に乗り込んできて、左太ももに「独島入れ墨」を実演。同5月には韓国書道パフォーマンス協会顧問のキム・ドンウクが、長さ20m幅1.6mの巨大な紙に「過去・現在・未来にも独島は大韓民国の土地」と書くパフォーマンスを行なった。
※週刊ポスト2012年8月31日号