8686人――これは7月最終週の1週間で、全国47都道府県、老若男女を問わず熱中症により救急搬送された人数。うち3週間程度の入院を要する重症患者が1.9%、0.2%(16人)が亡くなっている。8月中旬以降も平年並みか例年以上に暑いというから、まだまだ安心はできない。
例えば、こんなことはないだろうか。炎天下を歩いていると、額や脇、背中から汗が噴き出し、急いで家に帰ってクーラーをつける。涼しい風にホッとした瞬間、頭がクラクラッと…。実はこれも熱中症かもしれない。
信州大学循環器内科学講座教授の池田宇一さんが語る。
「熱中症には軽症、中等症、重症の3段階あります。軽症の筋肉の痛みや硬直はもちろん、中等症のめまいや頭痛も日常的にあるので見過ごしがちですが、暑い日にそうなったら、室内にはいったからといって安心できません。脱水状態に陥っているのに気づかず、さらに悪化する可能性もあります」
では、熱中症だと思ったら、どうすればいいか。
「水分を補給しつつ、濡れたタオルで体を拭いて体温を下げましょう。特に頸動脈という、首に流れる太い動脈を冷やすと体全体が冷えるので効果的です」(池田さん)
それでも治まらなかったり、吐き気や意識朦朧状態になった場合は、「即、医療機関へ」(池田さん)。
そうならないための最大の予防策は、水分をこまめに補給すること。そこで役立つのが「飲む点滴」とも呼ばれる熱中症に効く飲料を飲むことなのだ。女子栄養大学栄養クリニックの管理栄養士・榊玲里さんが解説する。
「体内の水分や塩分が不足すると、いろいろ機能が低下します。結果、体の熱を上手く発散できず体内に熱がこもってしまい、熱中症を引き起こす。従って、ただ水を飲めばいいわけではなく、水分とナトリウム(塩分)をバランスよく摂ることが重要です」
※女性セブン2012年8月23・30日号