最近、ネット右翼(ネトウヨ)がネット上で盛り上がったネタを真に受けて行動する政治家も出てきている。その代表が片山さつき議員だ。一連の経緯を振り返ってみよう。
自民党の参議院議員・片山さつきは、ネットのデマに釣られがちだ。古くは鳩山由紀夫首相(当時)のニセモノがツイッターを始めた時、「フォローして下さい」と呼び掛けた件がある。今年の3月にも、「NHKの音楽番組『MJ』における韓国人グループ・歌手の占有率36%は多過ぎる」と参議院総務委員会で批判したが、実際は11%だったことが明らかになった。
河本準一の母親の生活保護受給問題では、生活保護制度の改正を訴えるために、当初は匿名で報道されていた河本の実名を挙げ、そのことで多くの芸能人や文化人から批判された。
また、あるテレビ番組でお笑い芸人・千原せいじが「片山氏の夫がかつて会社を倒産させた」という趣旨のことを発言したところ、2ちゃんねるで「千原せいじ『片山さつきの夫の会社を潰す』と恫喝」というネタになった。
それをそのまま信じ、その後出演した番組で涙ながらに「千原せいじさんに恫喝された」と語った。問題の番組を見たわけではなく、「新幹線の中で人から聞かされた」と語っていた。
このように何かとネット上の騒動に首を突っ込みたがり、批判も受けるが、「愛国者」からは大人気で、ついには今年7月1日、「片山さつき議員を応援するデモ」まで行なわれるに至った。本人もデモの現場に現われ、「皆さんは本当に素晴らしい愛国者です」と呼び掛け、喝采を浴びた。(文中敬称略)
※SAPIO2012年8月22・29日号