高齢化が進む日本の社会。子供の自立し、退職後を夫婦だけで過ごすというケースも多いはず。そんななか、それぞれのパートナーの意外な一面に出会うことも…。福岡県の主婦Kさん(66才)は、亭主関白な夫(67才)の思いもよらぬ部分に出くわし、感動したという。Kさんが告白する。
* * *
7年前、60才で定年を迎えた夫とふたり、ゆったりとした毎日を送っています。
若いころの夫は亭主関白。19才で結婚してからは、「他の男に色目を使うな!」といわれ、オシャレはもちろん、化粧すらさせてもらえませんでした。新しい洋服なんて、めったに新調させてもらえないから、何度恥ずかしい思いをしたことか…。そんな夫ですから、友達からは離婚を勧められたこともありました。
でも定年後は、「どこにでも連れて行ってやる」なんていってくれて、夢でも見ているのかと思いました。とはいえ、出かけたいのは夫みたいだけど(笑い)。夫の趣味に写真撮影があって、「きれいなものを形にして残したい」と、出かけた先でいろんな風景を撮っているんです。でも、どんな写真を撮っているのかは見せてくれないのでわかりませんでした。
ところが先日、アルバムを広げたまま、夫が居間で眠っていたのです。どんな写真を撮っているのか、こっそり見てみると、驚くことに何ページにも渡って、私や子供たち、孫の写真までが貼ってあったのです。
カメラ目線のものはひとつもありませんし、私自身撮られているなんて、まったく気づいていませんでした。しかも、自分でいうのも何なのですが、いい表情をしているんです。夫はずっと、ファインダー越しに私たちを見ていてくれたんだと、胸が温かくなりました。
とはいえ、いくら無口で無愛想だとわかっていても、口に出してくれなければ気持ちはわかりませんよね。今度「写真を見たわよ」といってみようと思います。どんな顔をするのか、楽しみです。
※女性セブン2012年8月23・30日号