全階級で金メダルゼロという“惨敗”に終わった男子柔道界の目下の関心事は、篠原信一監督(39)の処遇だ。
篠原監督は北京五輪での不振(金2個のみ)の責任を取って辞めた斉藤仁氏の後継として監督に就任。任期は五輪2大会を担う2期8年が基本だが、「前任者以上の大敗を喫した以上、続投は白紙にすべきだ」という声が強い。全日本柔道連盟の吉村和郎・強化委員長は篠原監督について、「この経験を踏まえてあと1期やるほうがいい」と早々と続投させる見解を表明した。当の篠原監督は、「(惨敗は)私の責任。(進退については)上が決めること」と語っている。
確かに30代後半という若さから、選手の指導には苦労していたという。
「ベテランと若手、重量級と軽量級といった区別をせず、同じようにハードな練習を課したため、疲労とケガに悩んだ選手が多かった。技術論より精神論を重視する指導スタイルに反発する選手も少なくなかったようです」(スポーツ紙記者)
9月9日に開催される強化委員会で結論が出ると見られるが、すでに篠原監督の“ライバル”の名が取り沙汰されている。柔道連盟関係者の話。
「バルセロナ五輪金メダリストの吉田秀彦氏(42)です。最近では国内大会にも頻繁に顔を出しており、『代表監督に意欲アリ』といわれています。選手としての実績は申し分ないし、五輪では監督を務める実業団『パーク24』所属の海老沼匡が苦戦の予想を覆して銅メダルに輝き、指導力の確かさも証明された。環境は整っている」
誰が監督になろうとも、柔道ファンの願いは、リオ五輪で金メダルを量産してくれることだけだ。
※週刊ポスト2012年8月31日号