世論調査で国民の9割が「困る」と答える消費税引き上げ法案が成立した。2014年4月には5%から8%へ、2015年10月からは8%から10%に引き上げられる。消費増税の打撃を減らすにはどうすべきか。
住宅の場合、消費税は土地にはかからないが、建物にかかる。建物価格が2000万円なら、5%で100万円、8%で160万円、10%で200万円が税金として持っていかれることになる。
前述のとおり、住宅の購入は消費税の影響が大きい。だが、単純に「増税前に買えばいい」という結論は早計だ。判断を分けるポイントは「1997年の消費税引き上げ時(3%→5%)の価格変動」と「購入予定時期」だという。
家計の見直し相談センター代表で、ファイナンシャル・プランナーの藤川太氏の解説を聞こう。
「住宅価格は1997年の増税後、駆け込み需要の反動で売れ行きが悪くなり、1998年頃から下がり続けたため、それ以降に購入した方が増税分を合わせても安いという結果になりました。今回も、増税の1年後くらいから下がり始める可能性がある。3年以内に購入を考えている人は5%の時に買うことをおすすめしますが、そうでない人は4年後以降の必要時に買った方が賢明でしょう」
最近の住宅ローン金利は過去最低水準になっていることもあり、駆け込み購入のメリットは大きいが、「購入予定を大きく前倒ししてまで買うのは避けたほうがいい」(同前)という。
なお、増税前購入のタイミングにも注意しておきたい点がある。
「前回は増税の半年前の1996年9月末までに契約をしておかなければ、引き上げ前の税率が適用されませんでした。今回も同じ措置が取られると思われるため、2013年9月末までに契約をしなければなりません」(みずほ総合研究所エコノミスト・市川雄介氏)
ちなみに家の「売り時も今」と指南するのが、税理士の中村健二氏だ。
「値崩れを起こす可能性に加え、不動産業者に委託した場合、仲介手数料に消費税がかかる。住宅売却を考えている人なら、5%のうちに売った方が良いでしょう」
※週刊ポスト2012年8月31日号