男子サッカー代表が五輪でメダルを取ったのは、後にも先にも1968年のメキシコ五輪の銅メダルだけ。
44年ぶりのメダルを逃した瞬間を、嘆息を漏らしたサポーターとは対照的に、何やら複雑な気持ちで迎えたのがメキシコ五輪組だったようだ。メキシコ五輪でFWとして活躍し、得点王にも輝いた、日本サッカー協会元副会長の釜本邦茂氏(68)を直撃した。
「メダルを取ったのだからメキシコ組はロンドン組より上です。当時は、日本の世界ランクが150位や160位という時代でしたからね。それに、メキシコ組は点を取るためにゴールを目指すというやり方を徹底していた。いまの日本代表のきれいなサッカーでは勝てないということですよ」
孫のような年齢の選手たちへの対抗心を感じさせる語り口で釜本氏は続ける。
「少なくともベスト4まで行ったんだから、メダルを取ってくれよと思いました。ボクはそもそも決勝トーナメントに進めるとは思っていなかったから。まぁ、五輪のたびに“そろそろメダルを取れよ”という気持ちと、“なかなかメダルは取れんやろ”という気持ちの両方があるね」
3位決定戦敗退という結果であらためてメキシコ組の功績が再確認されたということか。この様子だと“ホッと胸をなで下ろす”どころか、思わずガッツポーズしちゃった元代表もいたかもしれない……。
※週刊ポスト2012年8月31日号