国際情報

大前氏「日本企業、自力更生したいなら役員半分を台湾人に」

 EMS(電子機器の受託製造サービス)世界最大手、台湾・鴻海精密工業が資本提携したシャープを丸ごと買収するのではといった話が新聞を賑わせているが、日本のその他のエレクトロニクス企業も台湾勢の買収攻勢に晒される危険がある。では、どう対抗していくべきなのか。大前研一氏が解説する。

 * * *
 この先、凋落した日本のエレクトロニクス企業は、台湾企業か韓国企業による買収攻勢に晒されるだろう。

 とはいえ、座して買われるのを待っているだけではあまりにも情けないし、日本の雇用も厳しさを増すばかりだ。日本のエレクトロニクス企業は、現状のままではいくらあがいても生き延びることはできず、全滅の危機にあると早く悟るべきである。
 
 GEは名経営者ジャック・ウェルチがいち早く「歴史の必然」に気づき、家電などの不採算部門を整理・縮小して医療診断機器や航空機エンジンに力を入れるとともに金融などの新事業にも次々と参入して大変身を遂げた結果、現在もエクセレント・カンパニーの座を守っている。

 一方、総合電機メーカーとしてGEと市場を二分していたウエスティングハウス・エレクトリックは消滅の憂き目にあっている。

 いまソニーやパナソニックやシャープが“自力更生”のためにやるべきことは、GEのような変身を遂げることなのだ。あるいは、台湾勢になりきったつもりで中国を徹底的に利用する。役員の半分を台湾人にするくらいの思い切った手を打つことも必要だろう。

 現在の経営不振を不況のせいにしたり、大震災のせいにしたり、無能な民主党政府のせいにしたりしてはいけない。自ら「生まれ変わる」か、身を捨てて「浮かぶ瀬」を見つけるしか、生き残る道はないのである。

※SAPIO2012年8月22・29日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《10年抗争がなぜ突然?》六代目山口組が神戸山口組との抗争終結を宣言 前兆として駆け巡った噂と直後に投稿された怪文書
NEWSポストセブン
川崎
“トリプルボギー不倫”川崎春花が復帰で「頑張れ!」と声援も そのウラで下部ツアー挑戦中の「妻」に異変
NEWSポストセブン
最後まで復活を信じていた
《海外メディアでも物議》八代亜紀さん“プライベート写真”付きCD発売がファンの多いブラジルで報道…レコード会社社長は「もう取材は受けられない」
NEWSポストセブン
ショーンK氏が千葉県君津市で講演会を開くという(かずさFM公式サイトより)
《“ショーンK復活”が話題に》リニューアルされたHP上のコンサル実績が300社→720社に倍増…本人が答えた真相「色んなことをやってます」
NEWSポストセブン
依然として将来が不明瞭なままである愛子さま(2025年3月、神奈川・横浜市。撮影/JMPA)
愛子さま、結婚に立ちはだかる「夫婦別姓反対」の壁 将来の夫が別姓を名乗れないなら結婚はままならない 世論から目を背けて答えを出さない政府への憂悶
女性セブン
28歳で夜の世界に飛び込んだ西山さん
【インタビュー】世界でバズった六本木のコール芸「西山ダディダディ」誕生秘話、“夢がない”脱サラ社員が「軽い気持ち」で始めたバーダンスが人生一変
NEWSポストセブン
通算勝利数の歴代トップ3(左から小山さん、金田さん、米田さん)
追悼・小山正明さん 金田正一さん、米田哲也さんとの「3人合わせて『1070勝』鼎談」で「投げて強い肩を作れ」と説き、「時代が変わっても野球は変わらない」と強調
NEWSポストセブン
行列に並ぶことを一時ストップさせた公式ショップ(読者提供)
《大阪・関西万博「開幕日」のトラブル》「ハイジはそんなこと望んでいない!」大人気「スイス館」の前で起きた“行列崩壊”の一部始終
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《“イケメン俳優が集まるバー”目撃談》田中圭と永野芽郁が酒席で見せた“2人の信頼関係”「酔った2人がじゃれ合いながらバーの玄関を開けて」
NEWSポストセブン
六代目体制は20年を迎え、七代目への関心も高まる。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
山口組がナンバー2の「若頭」を電撃交代で「七代目体制」に波乱 司忍組長から続く「弘道会出身者が枢要ポスト占める状況」への不満にどう対応するか
NEWSポストセブン
日本館で来場者を迎えるイベントに出席した藤原紀香(時事通信フォト)
《雅子さまを迎えたコンサバなパンツ姿》藤原紀香の万博ファッションは「正統派で完璧すぎる」「あっぱれ。そのまま突き抜けて」とファッションディレクター解説
NEWSポストセブン
ライブ配信中に、東京都・高田馬場の路上で刺され亡くなった佐藤愛里さん(22)。事件前後に流れ続けた映像は、犯行の生々しい一幕をとらえていた(友人提供)
《22歳女性ライバー最上あいさん刺殺》「葬式もお別れ会もなく…」友人が語る“事件後の悲劇”「イベントさえなければ、まだ生きていたのかな」
NEWSポストセブン