ライフ

川口市など火葬場ない自治体全国多数 火葬まで1週間待ちも

 みうらじゅん氏は、1958年京都生まれ。イラストレーター、エッセイスト、ミュージシャン、ラジオDJなど幅広いジャンルで活躍。1997年「マイブーム」で流行語大賞受賞。仏教への造詣が深く、『見仏記』『マイ仏教』などの著書もある同氏が、火葬場のない自治体もあるという日本の火葬場事情について解説する。

 * * *
 日本で最大級の火葬施設である名古屋市の八事斎場。この施設は日進市、豊明市といった火葬施設を持たない近隣市町村住民の火葬も行なっていて、それら近隣市民の火葬場使用料金は、当然名古屋市民より高いのである。

 名古屋市民が5000円のところ、これら近隣市民はなんと7万円!! 日本で最も火葬料金が高いと思っていた東京23区よりも高いところがあるんだね。

 驚くことに、火葬場のない自治体は他にもたくさんあった。特に埼玉県は、火葬場のない自治体が川口市や坂戸市など11もあり、そうした地域の住民は「火葬場難民」とさえ呼ばれているらしい。亡くなってから火葬まで3~4日待ちはあたり前。時には1週間待つこともあるというから深刻だった。

 川口市は人口58万人というかなりの大都市。人口30万人以上の都市で火葬場のないのは日本でも川口市だけという汚名を着せられていた。

 川口市民は隣接する東京都や草加市の火葬場を利用するのだが、東京都は御存じの通り民間火葬場主流の高額火葬地域。さらには草加市も東京同様、全国では珍しい民間火葬場しかない地区。民間なので、都民や草加市民と同じ料金ではあるが、当然5万円以上。おまけに家の近くで火葬ができないという、踏んだり蹴ったり状態だった。

 長年の議論がようやく実を結び今年になって川口市もやっと歴史自然公園とセットになった火葬場建設計画が決定したというが、完成はまだ先の話。火葬場難民の受難は当分続く。

 火葬先進国といわれる日本ですら、まだまだ安心して死ねる火葬態勢じゃないんだよ。  

※週刊ポスト2012年8月31日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

「ナスD」として人気を博したが…
《俺って、会社でデスクワークするのが苦手なんだよね》テレビ朝日「ナスD」が懲戒処分、517万円を不正受領 パワハラも…「彼にとって若い頃に経験したごく普通のことだったのかも」
NEWSポストセブン
トレードマークの金髪は現在グレーヘアに(Facebookより)
《バラエティ出演が激減の假屋崎省吾さん“グレーヘア化”の現在》中居正広氏『金スマ』終了を惜しむカーリー「金髪ロング」からの変貌
NEWSポストセブン
姉妹のような関係だった2人
小泉今日子、中山美穂さんのお別れ会でどんな言葉を贈るのか アイドルの先輩後輩として姉妹のようだった2人、若い頃は互いの家を行き来し泥酔するまで飲み明かしたことも
女性セブン
彼の一世一代の晴れ舞台が近づいている
尾上菊之助「菊五郎」襲名披露公演配役で波紋、“盟友”尾上松緑を外して尾上松也を抜擢 背景に“菊之助と松緑の関係性”を指摘する声も「最近では口もきかない」
女性セブン
39度目の甲子園で戦った明徳義塾・馬淵史郎監督(写真/産経新聞社)
【敗軍の老将・兵を語る】明徳義塾・馬淵史郎監督がメディアの報道に「頭にきているんですよ」 それでも健在だった的確な「敗因分析」コメント
NEWSポストセブン
「え、本物……?」小柄だが顔が激似の“大谷似翔平”にファンが歓喜
「似すぎ…!」大谷翔平に今永昇太…メジャーリーグ開幕当日、東京ドーム場外に“そっくりさん”が大量出没「めっちゃ本人じゃん」
NEWSポストセブン
大の里の昇進をめぐっては悩ましい問題も(時事通信フォト)
大の里「次の横綱」への最大の懸念は“大関ゼロ”問題 ガチンコ全盛時代に求められる“2場所連続優勝で文句なしの昇進”のハードルの高さ
週刊ポスト
実際の告知は執行当日、1〜2時間前に行われることが基本となっている
《死刑当日告知裁判》「早朝、革靴の足音で “その瞬間”への恐怖が増す」死刑囚と接した牧師が明かす“執行前の実態”「精神的な負担から睡眠薬頼りに、顔は腫れぼったく収監前の面影が消える」
NEWSポストセブン
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”の女子プロゴルフ・川崎春花、阿部未悠、小林夢果を襲う「決勝ラウンド3人同組で修羅場中継」の可能性
週刊ポスト
都内の高級住宅街に大きなあ戸建を建設中の浅野温子
浅野温子、都内高級住宅街に二世帯住宅を建設中 資産価値は推定5億円、NHK元アナウンサーの息子一家との同居で始まる“孫育て”の日々
女性セブン
再婚妻との子どもが生まれた東出昌大。杏はイラストで子どもとの日常を投稿
《東出昌大と新妻による出産報告も突然のYouTube休止》3児の母・杏がSNSに投稿していた「家族イラスト」の意味深な背景
NEWSポストセブン
寺本幸代監督が制作秘話を語った
《口コミでも絶賛の話題作》『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』監督が明かした制作秘話 「ドラえもん愛」「王道への挑戦」から生まれたこだわりのシーンとは?
NEWSポストセブン