「原発再稼働反対」デモは、これまでのデモとは一線を画している。明確なリーダーや左翼団体の影はなく、インターネットや口コミを通じて個人が集まった。
デモ主催者である女性イラストレーター・Misao Redwolf氏は、デモが20万人を動員するなど巨大化するにつれ、運動を「乗っ取ろうとする人々がいる」ことを“元ジャーナリスト”で自由報道協会代表の上杉隆氏に語った。
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――自由報道協会の会見(7月27日)では、セクト(新左翼)を名指しで批判してましたよね。
Misao:私は5年ほど前から反原発のデモや集会に取り組んでいて、3.11以前も反原発の集会などをすると、革マルや中核っていうのが来るわけですよ。私はその頃からとにかくアンチセクトでやっているんですが、(参加しないでくれ、という)クレームをつけると面倒くさいので、来られても放置みたいな状況でした。
いま、私たちの反原発連合では、組織や反原発以外ののぼり旗を立てない、勧誘のビラを配らないといった(自主的な)ルールを設けています。それは反セクト的な意味だけじゃなくて、一般の人が入りやすいという理由もあるんですけど、それで裾野が広がった。だんだんシングルイシュー的な部分が理解されて、運動が成熟してきたわけですが、やはり最後はこの問題なんですよ。
結局、デモが巨大化してから、(セクト系が)またドーッと来るようになった。でも、これに始末をつけなければ、本当の意味での市民運動にならないっていう思いが私の中で強い。
去年前半もいろんなデモが盛り上がったけど、やっぱり革マルが入り口でビラを配ったり、のぼりを立てていた。中核なんて主催者名を書かずに、あたかも自分たちが呼びかけ人であるかのような乗っ取りフライヤー(チラシ)を勝手に作ってオルグ(勧誘)に利用しようとしていた。こうしたことをいまやられると、マイナスにしかなりません。
――(元首相の)鳩山由紀夫さんは官邸前デモに参加したあとに、「(運動は)とてもいいことだけど、セクトが来ているから、僕はちょっと2回目は行けないな」といっていた。(民主党衆院議員の)川内博史さんも、7.29の国会包囲デモに行った際、セクト系の団体に「政治活動するな」と注意したら、保守反動扱いされて罵倒されたそうです。
Misao:7.29のデモでは、日比谷公園での集会のときにビラを配ってましたね。彼らのタチが悪いのは、歩道から車道にデモの列が決壊してしまったときに、いきなり前に来て自分たちの旗をバーンと先頭で立てて、それを自分たちの会報に載せるっていうやり方をすること。
7.29のときも、集会が始まる前に管轄の警察署の警備の人が、「革マルがいるから」って教えてくれました。私たちの「共通の敵」ですから。原発は要らないっていう純粋な気持ちで来ている参加者が多いので、そこを草刈り場にしてほしくない。セクトの人たちもほんとに原発を止めたいっていう気持ちなら、旗を下ろして参加すればいい。
――記者会見では右翼団体にも言及していました。
Misao:一度、在特会(在日特権を許さない市民の会)に、官邸前を占拠されたことがあるんです。ちょうど参加者が4万人を超えたぐらいのときで、向こうは20人ぐらいで色々いってきて。最終的には警察の説得で退場しましたけどね。でも、彼らは本物の右翼じゃなくて、ネトウヨ(ネット右翼)でしょう?
※週刊ポスト2012年8月31日号