台風による低気圧や、照りつける太陽の光など、夏は頭痛を誘発する要素がいっぱい。お子さんやご主人が家にいるなど、普段と環境が変わる夏休みは、片頭痛がおこりやすいといったケースもあるらしい。
頭痛・生理痛の薬のひとつ『ロキソニンS』の担当者、第一三共ヘルスケア 解熱鎮痛領域カテゴリーマネージャーの岡本淳さんは、頭痛薬との上手な付き合い方をこう語る。
「日本では、約3000万人もの人が、片頭痛や緊張型頭痛で悩んでいるといわれています。でも、これらの慢性頭痛は、市販の鎮痛薬でも対処できるんです。
みなさんよく誤解されているのが、鎮痛薬の飲み方。薬は痛みが我慢できなくなったら飲むという方が多いようですが、それはおすすめできません。痛みの原因物質は時間がたつとどんどん増えていきます。そうなってから飲んでも、痛みの物質を抑えきれません。頭が少し痛むと感じたときにすぐ飲めば、よりしっかり効き目を発揮できます。
また、体が薬に慣れて、効きづらくなるということもありません。用法・用量を守って飲んでも痛みが繰り返すようなら、薬剤師・医療機関へ相談を。市販薬をバランスよく使えば、慢性頭痛とも上手に付き合っていけるはずです」
東京女子医科大学病院など複数の医療機関で頭痛外来を担当し、頭痛治療の第一人者である医学博士・清水俊彦先生は「一次性頭痛は3種類あり、最近増えているのが群発頭痛。また、クモ膜下出血など、別の病気の症状として起こるのが二次性頭痛です」という。
まず一次性頭痛の症状と特徴は、以下の通り。
女性を悩ます頭痛の代表格【片頭痛】
主な症状:
ズキンズキンと痛み、動くと痛みが増す
吐き気やおう吐、腹痛、下痢をともなう
痛む前に、目の前がチカチカする
生あくびがでる、首や肩がこる
「脳内物質セロトニンが異常に増えた後、急激に減少することで血管が拡張し、痛みの原因に。セロトニンが増えるのは、脳が興奮状態にあるとき。神経が細やかな人、脳の働きが活発な人がなりやすいといえます。また、環境の変化にも弱いので、台風などの低気圧や刺激的な音や光、臭いにも反応して頭痛がおこることも。
セロトニンは、女性ホルモンにも影響するため、生理や排卵日前後もおこりやすくなります」(清水先生・以下「 」内同)
ストレスや運動不足でおこる【緊張型頭痛】
主な症状:
頭全体が締めつけられるように痛む
痛みが数か月から1年以上続く
首や肩がこる
めまい、だるさ、目の疲れをともなう
「長時間のデスクワークや、ストレスなどで筋肉が緊張するとおこります。片頭痛とは異なり、痛み以外の症状はなく、体を温めるとラクになります。片頭痛を併発している人も多く、その場合は、頭痛外来を受診してみて」
最近働く女性に急増中!【群発頭痛】
主な症状:
片側の目の奥が激しく痛み、じっとしていられない
痛みが15分~3時間程度続く
涙や鼻水が出て、まぶたがはれる
ある一定の期間だけ発作がおこる
「不規則な生活などが要因で目の奥の内頸動脈の壁が炎症し、痛みます。働き盛りの男性に多かったのですが、最近は女性に増えています」
放っておくと命に関わる二次性頭痛はより注意が必要。清水先生は「二次性頭痛には、クモ膜下出血、脳腫瘍、髄膜炎などがあります。痛みが日に日に増す場合はすぐ病院へ」という。
二次性頭痛の可能性がある症状:
頭痛時に発熱し、後頭部から首にかけて硬直する
慢性的な頭痛があり、失神することも
頭痛とともに吐き気やおう吐があり、日増しに悪化している
下に引っ張られるような激しい頭痛があり、起きていられない
頭の痛み方が、いままでとは明らかに異なる
「慢性頭痛のほとんどは、片頭痛です。命にかかわる病気ではありませんが、『たかが頭痛』と我慢は禁物です。“片頭痛は冷やす・緊張型は温める”など、症状ごとに治療法もまったく違いますから、タイプに合わせて対処することが大切。
とくに片頭痛がひどい人は、放っておくと、脳血管に小さな損傷ができ、血管がもろくなって脳梗塞の原因になるケースも。
鎮痛薬を月10回以上服用しても治まらない、あるいは、痛みがひどくなる場合は、専門医に相談しましょう。また、市販の鎮痛薬を使う場合は、主要成分が1種類の“単一成分”のものがおすすめ。痛みを感じたらすぐに飲むのが鉄則です」
※女性セブン2012年9月6日号