「ローリングストック」とは、ローリング(循環する)+ストック(蓄える)=日常生活の中で使う食品を多めに常備して、使いながらいざというときのために備える新しい食糧備蓄法のこと。
「ローリングストックには、おいしいものを選びたいですね。おいしければ、普段の食事にもどんどん使いたくなりますから、自然に循環していきます」(料理研究家・井上和子さん)
いざというときのために…と、普段食べないものを大量にストックしたものの、実際に食べようとしたら「消費期限が切れていた」「まずくて食べる気がしなかった」など、無駄になるケースも多い。備えるなら、“非常食にもなる日常食”が断然効率的で安心なのだ。
「大災害に見舞われた場合、救援物資が届くまでには、3日はかかるだろうといわれています。日本防災士会では、最低限、その3日間をしのげるだけの水と食料を各自で備蓄しておきましょう、と提唱しています」と語るのは、気象予報士で防災士の木原実さん。
備蓄食料の条件は、「常温で長期保存がきくこと」「ライフラインが途絶えても食べられること」の2点。非常時専用の食品もあるが、実はスーパーなどで買えるおなじみの食品の中にも“備蓄食料”になるものが数多くある。
「たとえば、乾燥パスタのカッペリーニ。カッペリーニは少ないお湯で短時間でゆでられるのが利点。もちろん、カップ麺や即席ラーメンもいいですし、パックご飯やレトルト食品、缶詰などなら、すでに火が通っていますから、いざとなれば、そのまま食べることもできます。真空パックのとうもろこしもすぐに食べられるので、おすすめですよ」(木原さん)
いくら非常時とはいえ、3日間、朝昼晩、同じものが続くのはツラい。こうした「すぐにおいしい」食品をベースに、家族の好みなども考えながら、3日分の食品を選ぶのがポイントだ。
「わが家では何を食べるか、具体的なイメージをもつことが大事です。最低3日間程度の献立をイメージし、それに沿って食品を購入すれば、迷いも無駄もありません」(木原さん)
家族の人数×3日分は確保しつつ、いつも通り食べる。消費期限の近いものから食べていけば、ストック分の消費期限も自動的に更新されるわけだ。
「ただし、必ず買い足してから食べること。地震は今日起こるかもしれない。食べてしまった翌日に、“いざというとき”がやってくるかもしれない。備蓄の空白期間を作らないことが大切なのです」(木原さん)
※女性セブン2012年9月6日号