ロンドン五輪での日本選手の活躍は確かに素晴らしかった。だが、宴のあと、の姿には違和感を感じることが少なくない。作家で五感生活研究所の山下柚実氏が指摘する。
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五輪が閉幕して約2週間が経ちました。
「もうその話はいいよ」「これ以上、ウンザリ」
どれほど多くの人がテレビ画面を見てつぶやいたでしょう? 五輪メダル獲得選手をテレビのスタジオに呼んでのインタビューに対して、です。
「オリンピック村で外国選手からデートに誘われましたか」
「メダルと一緒に寝ましたか」
「ボルト選手のポーズを1回は真似しましたか」
選手たちにこんなくだらない質問をしたその上に、札をあげさせて答を求める。苦笑いしながら札を上げる選手たち。その質問の内容自体も、答えさせる方法も、選手と視聴者をどこかバカにしてません?
質問を考えた人に、本当に聞いてみたい。「外国選手に誘われましたか」という質問で、いったい「何を」聞き出したいのか。いったい「誰に」、その答を伝えたいのか。
それが皆目見当がつかないのは、私だけ?
ちなみに、この質問を目撃したのは、NHKのスポーツ報道番組においてでした。選手たちの活躍は一流だったけれど、日本のスポーツ報道はいつになったら三流から脱するのでしょう。
こんな驚きの調査も。
「キスしてみたいスポーツ選手」を20~30代の男女400人に聞いた(SKプラネット・ジャパンの調査)。その結果、男性1位が体操・内村航平、女性の1位は体操・田中理恵、バドミントン・潮田玲子が同率。この調査、調べる理由は「何でだろう」?
オリンピックの開催中、ここ一番という晴れ舞台で、持てる力を100%以上出す選手たちのメンタリティとすばらしいパフォーマンスに、たしかに爽やかな気分にしていただきました。それなのに……競技と関係ないことであれこれいじられまくる選手たちの姿、もう見たくない。
大会中は選手たちの輝く姿を追いかけて、チャンネルを次々に切り替えていた私。しかし、大会が終わったとたん、行動は180度変わりました。オリンピック選手が出てくると、「またかよ」と慌ててテレビのチャンネルを別の番組に替えている私になってしまったのです。また、下らない質問をぶつけられる選手たちを見たくなくて。