消費税引き上げ法案が成立した。2014年4月には5%から8%へ、2015年10月からは8%から10%に引き上げられる。
消費税には所得が低い人ほど負担率が重くなる「逆進性」があるとされる。その解消のために検討されているのが、食料品などの“生活必需品”の税率を低くする「軽減税率」である。
だが、何を生活必需品と見なすのか、贅沢品との線引きは難しく、その曖昧さゆえのトラブルも相次いでいる。
日本でも売られている菓子の「プリングルズ」。イギリスでは、じゃがいもを原料として作られたポテトチップスは軽減対象外だが、ケーキやビスケットは軽減税率の対象となる。
このプリングルズの製造元であるプロクター・アンド・ギャンブル社は「プリングルズはポテトチップスではなくビスケット」と主張。2008年にロンドンの英国高等裁判所が下したのは、「プリングルズはポテトチップスではない」との判決。含まれているじゃがいも原料が42%しかないことなどが理由だった。
また、イギリスではチョコレートは贅沢品として標準課税されるが、チョコレートがけのビスケットの場合、チョコが半分以上を覆っていれば贅沢品として扱われる。
この曖昧さゆえに裁判沙汰となったのが、「ティーケーキ」という商品。これまで贅沢品のチョコがけビスケットとして標準税率が課せられていたが、イギリスの小売り大手が「ケーキだから0%だ」と主張して政府を提訴。10年を超す法廷闘争の末にケーキと認められ、過去に払った約20年分の税金が返還されることになった。
※週刊ポスト2012年8月31日号