原発をめぐって国論が二分されている中、脱原発のシンポジウム『倫理と成長の脱原発』(9月16日)を主催する漫画家の小林よしのり氏は、原発推進派の主張を「嘘だらけ」と批判する。ここでは「エネルギーの安定的確保」の嘘を指摘する。
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原発推進派が何が何でも原発でなくてはダメだと主張する根拠のひとつに「火力発電だと化石燃料は100%輸入だから、禁輸されたらおしまいだ。太平洋戦争も石油を禁輸されて始まった」というものがある。
だが、これはおかしい。ウランだって100%輸入である。
原子力を自前の「準国産エネルギー」としてエネルギー安全保障を確保するプランは、「高速増殖炉」や「核燃料サイクル」が完成し、使用済み燃料からまた新たな燃料を取り出せるようになることが前提である。
しかし、核燃料サイクル計画は完全に破綻している。
当初、1980年代前半に高速増殖炉が実用化されるはずだったが、計画改定のたびに先送りにされ、現在の計画では目標は「2050年」だ。実に70年も先送りされている。ほぼ実現不可能な計画に依拠した「エネルギー安全保障」など欺瞞以外の何ものでもない。