スポーツ

元春日錦 「約40人の力士が八百長に関わる」と調査委に証言

 日本相撲協会は昨年4月、八百長に関わったとされる多くの力士を角界から追放した。しかし、未だに多くの八百長力士や親方が現役で居座っていることを、角界を追放された力士たちは知っている。

 その中でも元春日錦は、昨年2月に発覚した八百長問題の中心人物として注目を浴びた。2010年に起きた相撲関係者による野球賭博問題では、賭博に関わった1人として謹慎休場した。この休場によって幕下に陥落した春日錦は、その後も2場所連続で負け越して2011年1月場所後に引退。年寄・竹縄を襲名して春日野部屋付き親方となった。

 しかし引退後の2月、警察が賭博問題で力士らから押収していた携帯電話から、八百長を示唆する46通のメールが復元された。携帯電話の持ち主は春日錦、千代白鵬、恵那司の3人だが、春日錦はこのうち八百長に関するメール22通を送信、14通を受信していたのだ。

 元山本山は本誌にこう告白している。

「春日錦は僕が十両に上がると、速攻で携帯電話のメールアドレスを聞きにきました。彼だけは中盆(八百長相撲の仲介をする人物)の恵那司さんを通さずに、メールで直接やりとりするからです。

 中盆を通した場合には場所後に『骨折り』といって3万~5万円程度の祝儀をやる必要があり、春日錦はその祝儀を払うのを惜しんだんでしょう。でも、それが原因で証拠が残ってバレたんですよ。先輩には後で“春日錦には気をつけろ”といわれましたが、聞いたときにはもう手遅れでした。

 自分は春日錦を通じて八百長をしたことはないし、直接メールのやりとりをしたこともない。ただ、春日錦と他の力士とのやりとりのなかに“山に(星を)貸しているよ”というのがあって、“山”という字が出ていただけでクビになったんです」

 春日錦は現役時代から賭博などに興じ、金には困っていたという。ある相撲関係者は憤りながらこう口にした。

「春日錦は2009年の秋の巡業中に博打で一気に700万円ほど負けたことがある。周囲に泣きついて、何十万円単位でカネを借りていた。引退したいまもカネは返ってきていないと聞いている」

 その春日錦は協会に携帯電話のメールという証拠を押さえられたことで、自発的に八百長を認め、調査に協力した。

 当時、八百長騒動を取材していたスポーツ紙の相撲担当記者がいう。

「なかでも春日錦は、“自分たちだけが責められるのはおかしい”と調査委員会にクレームをつけ、“全部で約40人の力士が八百長に関わっていた”として具体的な名前を挙げて証言した。40人といえば幕内、十両の総勢70人の半分以上で、これには協会幹部は大慌てになった。

 3人の証言などをもとに、調査委員会が処分を考えた力士は30人以上にのぼったが、八百長を強く否認する力士から“処分されれば法的手段に訴える”と猛反発され、途中で方針を転換した。“複数の証言で証明された力士を処分する”として、23人の力士や親方が事実上の追放処分となった。結局、名前の挙がった10人ほどが処分を検討されながらも見送られることになりました」

※週刊ポスト2012年9月7日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《中山美穂さん死後4カ月》辻仁成が元妻の誕生日に投稿していた「38文字」の想い…最後の“ワイルド恋人”が今も背負う「彼女の名前」
NEWSポストセブン
工藤遥加(左)の初優勝を支えた父・公康氏(時事通信フォト)
女子ゴルフ・工藤遥加、15年目の初優勝を支えた父子鷹 「勝ち方を教えてほしい」と父・工藤公康に頭を下げて、指導を受けたことも
週刊ポスト
山口組分裂抗争が終結に向けて大きく動いた。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
「うっすら笑みを浮かべる司忍組長」山口組分裂抗争“終結宣言”の前に…六代目山口組が機関紙「創立110周年」をお祝いで大幅リニューアル「歴代組長をカラー写真に」「金ピカ装丁」の“狙い”
NEWSポストセブン
「衆参W(ダブル)選挙」後の政局を予測(石破茂・首相/時事通信フォト)
【政界再編シミュレーション】今夏衆参ダブル選挙なら「自公参院過半数割れ、衆院は190~200議席」 石破首相は退陣で、自民は「連立相手を選ぶための総裁選」へ
週刊ポスト
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
Tarou「中学校行かない宣言」に関する親の思いとは(本人Xより)
《小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」》両親が明かす“子育ての方針”「配信やゲームで得られる失敗経験が重要」稼いだお金は「個人会社で運営」
NEWSポストセブン
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波も(マツコ・デラックス/時事通信フォト)
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波、バカリズム脚本ドラマ『ホットスポット』配信&DVDへの影響はあるのか 日本テレビは「様々なご意見を頂戴しています」と回答
週刊ポスト
大谷翔平が新型バットを握る日はあるのか(Getty Images)
「MLBを破壊する」新型“魚雷バット”で最も恩恵を受けるのは中距離バッター 大谷翔平は“超長尺バット”で独自路線を貫くかどうかの分かれ道
週刊ポスト
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
「フォートナイト」世界大会出場を目指すYouTuber・Tarou(本人Xより)
小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」に批判の声も…筑駒→東大出身の父親が考える「息子の将来設計」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン