毎年開幕前になると、OBがこぞって順位予想をするのが定番だが、中にはそれが「絶対に当たらない」ことで有名な人物がいる。カープOBの達川光男氏。実は本人も気にしていて、自分のブログで「当たらないと評判のワシの順位予想法」と銘打つほどだ。
ところが、今年はちと様相が違う。達川氏の今年の開幕前予想は、1位から巨人、中日、広島、阪神、ヤクルト、横浜。そう、今のところ阪神とヤクルトが入れ違うだけの、「ほぼ的中」状態なのだ。これは一大事、と本人を直撃した。
「うん、今年はいい線いくんと違うかな。ワシもびっくりしとるんよ(笑い)」
何が功を奏したのか。“達川流”順位予想の根拠。
「目安にするのは先発ローテーション投手の勝ち星で予想を立てるということ。でもワシの場合、重視するのは何勝するかだけではなく、各投手がどれだけ貯金できるかなんよ。つまり、10勝10敗の投手をどう考えるかやね。
皆さんは勝ったり負けたりでダメと思うかも分からんが、勝率5割のピッチャーなら、ワシにいわせれば合格です。エース級が1人で10の貯金をしても、4番手以降のピッチャーがその貯金を食いつぶしては上位には食い込めない。チームの勝率でいっても5割で終われば普通ならAクラス。CSに進出できる成績です」
今年のカープは前田健、野村、バリントン、大竹が揃っていい働きをしており、先発陣の成績は予測通り。
「野村監督も3年目で、選手個々の能力を把握できているのも大きい。それでも優勝には届かんと予想したのは、カープでは7、8回とクローザーまでの継投に、これといった決め手を欠いとるからなんよ」
力のある巨人、中日を上位から外すことはできない。「巨人を上位から外すのは、よほどの目立ちたがり屋やろうね」という達川氏。
「ただケガ人という不確定要素もあるし、戦力分析はできても、選手はなかなかその通りに活躍してくれないから難しいんよ。今年はカープが大きな戦力ダウンもなく頑張れているということやね。最後までヤクルトと3位争いになるだろうけど、ワシは今年はイケると思うよ」
赤ヘル党にとっては、心強い一言である。
※週刊ポスト2012年9月7日号