芸能

原田大二郎 息子のいじめ解決でモンペ扱いされないかと悩んだ

 次々と明らかになっているいじめ問題。親は一体どのようにして子供を守ればいいのだろうか。かつて、いじめの標的となったわが子を、必死の思いで救い出した俳優の原田大二郎(68才)に、親としてできること、やるべきことを聞いた。

 原田は45才の時に、当時、中学生になったばかりの長男・虎太郎さん(37才)の数学のノートに、全ページにわたって書き込まれた醜い文字を発見して混乱した。

「でっかい文字でね、あまりにひどい落書きなので、どうしたんだ?って理由を聞いたよ。そうしたら『授業中に退屈だから、自分で書いた』って。でも、どうも様子が変だ。そのうち、頬に砂がこびりついたり、上着に靴の跡がついたりして、そのまま帰ってくるようになった。聞くと、『休憩時間に、プロレスごっこをした』って。それ以上、何を聞いても彼は語ろうとしないんだ」(原田・以下「」内同)

 原田家のいじめ問題はこうして浮上した。子供に何かが起きている。にもかかわらず何もしてやれない―一計を案じ、虎太郎君が慕っている学習塾の塾長に相談する。

「虎太郎は誰にもいじめの話はしない。でも、塾長なら聞き出せるかもと。先生はすぐに虎太郎と話をし、5時間かけて事実を聞き出してくれた。『ダイ(大二郎)さん、コタ(虎太郎)は殴る蹴るのいじめを受けています』ってね」

 塾長にお礼をいい、明日、校長のところに行ってくる―そう決意した原田だが、一晩悩み続けた。抗議した時のマイナス面も考えざるをえなかったからだ。

「モンスターペアレンツ(モンペ)というレッテルを貼られても困る。俳優業にはマイナスになるだろう。お礼まいりをされて息子へのいじめがさらにひどくなったらどうするんだ…。親としてはそうした事態が、自分が原因で始まったらたまらない。でも息子を守るためにはとにかく、どんなことでもしようと思った」

 原田はいじめの事実を校長に相談し、改善を求めることに決める。もし校長が隠蔽体質の人だったら、その時は教育委員会、その次は東京都へ。

「東京都でもダメなら、文部省にまで話をつけにいく覚悟で学校に行きました。いつもより学校の壁が高く思えましたね。でもどんなことをしても息子を守ってやるという思いだった」

 原田の心配は杞憂に終わり、校長はすぐに対応してくれた。生活担当、学年主任、担任教師を集め、事実確認にすぐ動いた。

「学校側がいじめをなくそうと動いてくれた結果、息子をいじめていたのは、なんと17人もの生徒だとわかった。中にはふざけてたたいた子もいたけれど、その中の4~5人が首謀者でした。虎太郎への仕返しを恐れてたんだけど、もう一度学校に乗り込んでいかないとならないような事態はなかったね」

 それにしてもなぜ、父親にではなく、虎太郎君は塾の先生に事実を打ち明けたのだろう。原田には思い当たるふしがあった。

「虎太郎は病弱な子供で、医師からは3才まで生きられるかわからないといわれていた。ランドセルを背負うと、後ろに倒れてしまうほどだった。それでもおれは息子に大きな期待を寄せた。

 その期待にこたえてくれない虎太郎にきつくあたってしまったことも。頑張れ!と耳元でささやく、それが間違いだと気づくのが遅すぎた。家庭の中に安住の場所がなかったし、そんな父親を長男は信用できなかったと思う。だから悩みを打ち明けられなかったんだと思う。まずは親子の信頼関係をきずかないとね」

※女性セブン2012年9月6日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバム、
「『犯罪に関わっているかもしれない』と警察から電話が…」谷内寛幸容疑者(24)が起こしていた過去の“警察沙汰トラブル”【さいたま市・15歳女子高校生刺殺事件】
NEWSポストセブン
NHKの牛田茉友アナウンサー(HPより)
千葉選挙区に続き…NHKから女性記者・アナ流出で上層部困惑 『日曜討論』牛田茉友アナが国民民主から参院選出馬の情報、“首都決戦”の隠し玉に
NEWSポストセブン
豊昇龍(撮影/JMPA)
師匠・立浪親方が語る横綱・豊昇龍「タトゥー男とどんちゃん騒ぎ」報道の真相 「相手が反社でないことは確認済み」「親しい後援者との二次会で感謝の気持ち示したのだろう」
NEWSポストセブン
フジテレビの取締役候補となった元フジ女性アナの坂野尚子(坂野尚子のXより)
《フジテレビ大株主の米ファンドが指名》取締役候補となった元フジ女性アナの“華麗なる経歴” 退社後MBA取得、国内外でネイルサロンを手がけるヤリ手経営者に
NEWSポストセブン
「日本国際賞」の授賞式に出席された天皇皇后両陛下 (2025年4月、撮影/JMPA)
《精力的なご公務が続く》皇后雅子さまが見せられた晴れやかな笑顔 お気に入りカラーのブルーのドレスで華やかに
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(時事通信フォト)
《「心神喪失」の可能性》ファストフード中学生2人殺傷 容疑者は“野に放たれる”のか もし不起訴でも「医療観察精度の対象、入院したら18か月が標準」 弁護士が解説する“その後”
NEWSポストセブン
被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバムと住所・職業不詳の谷内寛幸容疑(右・時事通信フォト)
〈15歳・女子高生刺殺〉24歳容疑者の生い立ち「実家で大きめのボヤ騒ぎが起きて…」「亡くなった母親を見舞う姿も見ていない」一家バラバラで「孤独な少年時代」 
NEWSポストセブン
6月にブラジルを訪問する予定の佳子さま(2025年3月、東京・千代田区。撮影/JMPA) 
佳子さま、6月のブラジル訪問で異例の「メイド募集」 現地領事館が短期採用の臨時職員を募集、“佳子さまのための増員”か 
女性セブン
〈トイレがわかりにくい〉という不満が噴出されていることがわかった(読者提供)
《大阪・関西万博》「おせーよ、誰もいねーのかよ!」「『ピーピー』音が鳴っていて…」“トイレわかりにくいトラブル”を実体験した来場者が告白【トラブル写真】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《広末涼子が釈放》「グシャグシャジープの持ち主」だった“自称マネージャー”の意向は? 「処罰は望んでいなんじゃないか」との指摘も 「骨折して重傷」の現在
NEWSポストセブン
大阪・関西万博が開幕し、来場者でにぎわう会場
《大阪・関西万博“炎上スポット”のリアル》大屋根リング、大行列、未完成パビリオン…来場者が明かした賛&否 3850円えきそばには「写真と違う」と不満も
NEWSポストセブン
真美子さんと大谷(AP/アフロ、日刊スポーツ/アフロ)
《大谷翔平が見せる妻への気遣い》妊娠中の真美子さんが「ロングスカート」「ゆったりパンツ」を封印して取り入れた“新ファッション”
NEWSポストセブン