今年10月配備予定のオスプレイ問題、暗礁に乗り上げたままの基地移設問題――。揺れる普天間基地の内部で米兵たちはどんな生活を送っているのか。初めて日本のカメラが潜入した。ジャーナリスト・笹川英夫氏がリポートする。
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普天間基地の中にあるのは、軍事施設だけではない。ここには隊員ら3000人の日常もある。宿舎があり、日用品が買えるPX(基地内売店)、銀行、郵便局のほか、サブウェイなどのファストフード店、教会、映画館、ボーリング場など、娯楽施設も揃っている。フェンスの内側ですべてが事足りるようになっている。
隊員はここで約2~3年の沖縄生活を送り、その後は次の任地へと向かう。日本人と結婚したり、日本に愛着を感じ沖縄に留まることを希望する隊員も少なくない。
体が資本の海兵隊員にとって、何より重要なのが「食」。普天間基地の食堂は、責任者のスミス曹長が「海兵隊の全基地の中でナンバーワンに選ばれた」と自慢する施設だ。メインダイニングはバイキング方式で、肉料理の他、サイドメニューが20品目以上並ぶ。
スミス曹長いわく、「レシピは1000以上。調理方法から調味料の量まで細かく決まっているんだ」。40人の日本人従業員とともに、25人の海兵隊員が調理しており、彼らは通常の訓練も行なっている。
基地内には、隊員や家族の娯楽などを支援するUSO(米国慰問協会)の施設もあった。中には、簡易カフェテリアがあり、隊員たちはサンドイッチをつまみながらテレビウォッチ。日本土産が売られているコーナーもあり、店員によると最近の人気はアキバ系のフィギュア。中でも「ドラゴンボール」の人気は凄まじく、基地の中にもコレクターが多数いるという。
撮影■笹川英夫
※週刊ポスト2012年9月7日号