本誌・週刊ポストは前々号(8月24日号)で、「いまもなお、土俵の上には免れて恥なき八百長力士たちがいる」という元幕内力士・山本山の証言をスクープした。日本相撲協会は「もう八百長力士はいない」と嘯く(うそぶく)が、実際には角界浄化とはほど遠い状態であることが明らかになった。
この追及に対して相撲協会が取った態度はどうだったか。前回の本誌の取材に対して相撲協会は、
「充分な調査を行なう時間的余裕がないので、残念ながら回答期限までに回答できない」
と返答していた。ところが“時間的余裕”があったはずの今になっても、協会内部で調査が進んでいる様子はまったく窺えない。
協会関係者が明かす。
「ポストの発売日、協会内は大騒動になった。もう一度徹底調査しろ、という親方もいた。しかし、結果的には“少し様子を見よう”ということになり、実名が挙がった力士たちへの調査も行なわれていない。
というのも、ロンドンオリンピックの真っ最中だったため、協会幹部は“他のスポーツマスコミの追撃はない”とたかをくくっていたからだ。場所中のように理事長や理事、親方が相撲担当記者からコメントを求められることはないし、記者のほうもアマチュアスポーツ担当を兼務していることが多いから、五輪中は相撲取材どころじゃない。
協会は山本山の告発にはシカ(角界の隠語で「無視」のこと)を決め込んでいて、ただ頭の上を嵐が通りすぎるのを待ってる状態だ」
※週刊ポスト2012年9月7日号