その瞬間、誰もが自分の目を疑った――。8月20日、NHK BS1で放送された『アスリートの魂』には、ロッテのエースで、現在11勝を挙げている成瀬善久が登場した。番組のテーマは、ボールを実際より速く見せる成瀬の投球術だったが、ファンが注目したのはそんな所ではない。途中、唐突に出てきた成瀬の入浴シーンである。
筋肉を感じさせないなだらかな肩のラインに、推定Aカップの胸、肉づきのいいアゴ……。失礼ながら、およそ26歳の一流アスリートの身体とは思えない、その緩みきったプニプニボディに、ファンからは、
「いいおっぱいしてるな」
「だらしない身体だなオイ」
「おっさんやないか」
などという感想が寄せられていた。
週刊ポストは今年6月15日号で、「横浜高校OBはなぜ太るのか」と題して検証記事を掲載した(関連記事参照)。横浜高は練習は厳しいが食事は比較的自由であること、松坂大輔が「練習はプロの方が楽」と話していたことなどから、「高校時代は激しいトレーニングのおかげで消費カロリーも多く、太らずに済んだが、その食生活のまま“楽”なプロに入った結果、ブクブク肥えたのではないか」という仮説を提起。しかし実際に裸を見た週刊ポスト編集部も、想像をはるかに超える太りように困惑した。
ところで、ここで新たな疑問が浮上した。現在、成瀬とハーラートップを争うのは大隣と攝津(ともにソフトバンク)。同じ左腕なのは大隣だが、彼もふくよかな体つきである。古くは江夏豊の例もあるが、左腕は太っている方が大成しやすいのだろうか? 左腕といえばこの人、400勝投手の金田正一氏に話を聞いた。
「基本的に太っている投手は大成しない。膝をはじめ体への負担が大きく、故障がちになるからだ。特に最近の若いヤツは走り込みを疎かにし、ウェイトトレーニングばかりやるから下半身が弱い。そこにきてデブとなると、悪影響しかない。成瀬はちょっと太りすぎだ。テクニック云々より、まずは絞らんといかん。しかし君たちも、くだらないことを聞くんじゃない」
怒られてしまいました。しかし週刊ポストはこの謎を今後も追及していきます。
※週刊ポスト2012年9月7日号