国内

普天間の米パイロット ヘルメットに自作の旭日旗シール貼る

普天間米兵のヘルメットに描かれた旭日旗

 オスプレイ配備、辺野古移設問題で揺れる普天間基地。その内部に初めて日本のカメラが入った。フェンスの内側で映し出されるものは何か、ジャーナリスト・笹川英夫氏がリポートする。

 * * *
 基地へと続く道には、左右に障害物が設置され、車は蛇行を余儀なくされる。テロリストによる強行突破を防ぐためだろう。厳重な警備に、改めてここが米軍の重要基地であることを気付かされる。

 ゲートで出迎えた広報の担当官はいう。

「これから、業務の様子だけでなく、この施設内での日常もお見せします。おそらく、日本のマスコミに公開するのは、これが初めてでしょう」

 普天間基地――。宜野湾市のほぼ中央、周囲を住宅地に囲まれた、広さ東京ドーム約100個分(約480ヘクタール)のこの基地は、米海兵隊の拠点として主にヘリ部隊による兵員物資の輸送を担っている。配備された軍用機約50機、隊員と軍属約3000人。ここは東アジアの安全保障を担う重要拠点である一方、いま、辺野古移設、オスプレイ配備問題に揺れる渦中の基地でもある。

 先導される車に従ってゆっくりと基地内を進むと、まず目に入ってきたのは、滑走路脇に整然と並べられたCH46だ。オスプレイはこの後継機として配備される。ベトナム戦争でも活躍し、既に現役40年以上。老朽化が激しく、15時間の飛行ごとに点検が定められているが、間近で見る機体は整備が行き届いている。

 3機ほど収納できる格納庫では機体上部を外し、プロペラ部などをチェックする隊員の姿を目にした。格納庫を出ると、100メートルほど離れた場所でちょうどCH46が離陸するところだった。声を張り上げないと会話ができないほどの爆音が鳴り響く。

 数百メートル先にはC130輸送機部隊の隊舎。アフガンやイラクへも派遣された部隊だ。2階にあるオペレーションルーム。一見、大企業のオフィスといった様子で、100平方メートル超の部屋で、10人ほどの士官たちがパソコンのキーボードを叩く。ここで訓練のスケジュール管理などが行なわれているのだ。彼らはしかし事務屋ではない。歴としたパイロットである。陸海空軍と違い、人員の少ない海兵隊は事務も実地もすべて負担し合う。

 1階の格納庫近くにはパイロット準備室がある。個人のロッカーが並び、中にはヘルメットやベストなどの装備が保管されている。日本生まれのブラッドリー大尉がロッカーを見せてくれた。彼のヘルメットの横側に旭日旗が描かれている。赤いテープで自作したのだという。彼が所属する第152空中空輸部隊のニックネームは「SUMOS」。そう、日本の相撲から取った愛称だ。

撮影■笹川英夫

※週刊ポスト2012年9月7日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

SNSで出回る“セルフレジに硬貨を大量投入”動画(写真/イメージマート)
《コンビニ・イオン・スシローなどで撮影》セルフレジに“硬貨を大量投入”動画がSNSで出回る 悪ふざけなら「偽計業務妨害罪に該当する可能性がある」と弁護士が指摘 
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(左/時事通信フォト)
広末涼子の父親「話すことはありません…」 ふるさと・高知の地元住民からも落胆の声「朝ドラ『あんぱん』に水を差された」
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、入学式で隣にいた新入生は筑附の同級生 少なくとも2人のクラスメートが筑波大学に進学、信頼できるご学友とともに充実した大学生活へ
女性セブン
漫画家・柳井嵩の母親・登美子役を演じる松嶋菜々子/(C)NHK 連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合) 毎週月~土曜 午前8時~8時15分ほかにて放送中
松嶋菜々子、朝ドラ『あんぱん』の母親役に高いモチベーション 脚本は出世作『やまとなでしこ』の中園ミホ氏“闇を感じさせる役”は真骨頂
週刊ポスト
都内にある広末涼子容疑者の自宅に、静岡県警の家宅捜査が入った
《ガサ入れでミカン箱大の押収品》広末涼子の同乗マネが重傷で捜索令状は「危険運転致傷」容疑…「懲役12年以下」の重い罰則も 広末は事故前に“多くの処方薬を服用”と発信
NEWSポストセブン
『Mr.サンデー』(フジテレビ系)で発言した内容が炎上している元フジテレビアナウンサーでジャーナリストの長野智子氏(事務所HPより)
《「嫌だったら行かない」で炎上》元フジテレビ長野智子氏、一部からは擁護の声も バラエティアナとして活躍後は報道キャスターに転身「女・久米宏」「現場主義で熱心な取材ぶり」との評価
NEWSポストセブン
人気のお花見スポット・代々木公園で花見客を困らせる出来事が…(左/時事通信フォト)
《代々木公園花見“トイレ男女比問題”》「男性だけずるい」「40分近くも待たされました…」と女性客から怒りの声 運営事務所は「男性は立小便をされてしまう等の課題」
NEWSポストセブン
元SMAPの中居正広氏(52)に続いて、「とんねるず」石橋貴明(63)もテレビから消えてしまうのか──
《石橋貴明に“下半身露出”報道》中居正広トラブルに顔を隠して「いやあ…ダメダメ…」フジ第三者委が「重大な類似事案」と位置付けた理由
NEWSポストセブン
小笠原諸島の硫黄島をご訪問された天皇皇后両陛下(2025年4月。写真/JMPA)
《31年前との“リンク”》皇后雅子さまが硫黄島をご訪問 お召しの「ネイビー×白」のバイカラーセットアップは美智子さまとよく似た装い 
NEWSポストセブン
異例のツーショット写真が話題の大谷翔平(写真/Getty Images)
大谷翔平、“異例のツーショット写真”が話題 投稿したのは山火事で自宅が全焼したサッカー界注目の14才少女、女性アスリートとして真美子夫人と重なる姿
女性セブン
フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《中居氏とも密接関係》「“下半身露出”は石橋貴明」報道でフジ以外にも広がる波紋 正月のテレ朝『スポーツ王』放送は早くもピンチか
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された
〈不倫騒動後の復帰主演映画の撮影中だった〉広末涼子が事故直前に撮影現場で浴びせていた「罵声」 関係者が証言
NEWSポストセブン