一時は首位をうかがう勢いだった楽天も、気が付けばBクラスに転落。
「実は躍進の理由も失速した理由も同じと見られているので、どう手をつけていいかわからない状況です」(楽天番記者)
その「理由」とは、“デーブ”こと大久保コーチの「アーリーワーク」だ。同コーチの代名詞ともなっている早出特訓で、キャンプ以来ずっと続いてきた。選手には「引っ張って本塁打を打て」と指導し、本数ノルマも設定。達成できないと練習で打つ量を増やされるスパルタである。
シーズン前半はその成果が出て、チーム打率も.250前後を記録、楽天を躍進させた。しかし8月になると打率は.230台に急落。チームもズルズル後退している。過度な練習による夏バテの気がしないでもないが、いまチーム内で異を唱えることはタブー。実は、このアーリーワークが選手の“生殺与奪”の権を握っていると囁かれているからだ。
6月末には、デーブに逆らったことが原因でトレードされたのではないか、という“事件”が起きた。
「内村が藤田との交換で横浜に移籍しましたが、2人とも同じタイプの選手で、まったく意図のわからないトレードでした。思えば内村はプロ入り以来、ランニングホームラン1本しか打ったことのない選手で、“僕は本塁打を打つ打者じゃない”と、デーブの方針に反論したことがある。その制裁人事ではないかといわれているんです」(前出の記者)
その他、「急にスタメンから外された選手は早出に出ていなかった」とか、「いつもと違う選手が起用されたら、皆が“ああコイツは早出して点数を稼いだんだな”と言い始める」など。
だが当の大久保コーチは、自分の育成方針に絶大な自信を覗かせる。同じく若手育成に定評のある佐藤義則・投手コーチをライバル視しているのか、こんな事件も起こった。
「NHKが若手育成術のテーマで佐藤コーチを取材した特集番組を作ったときに、大久保コーチが“何でオレじゃないんだ”といってキレていた。選手は驚きを通り越して唖然としていました」(球団関係者)
※文中、数字はすべて8月21日終了時
※週刊ポスト2012年9月7日号