ネットで検索すると、実に様々な「若者の○○離れ」が出てくるが、冗談のようなものも多い。
例えば「山葵離れ」「辛子離れ」「かまぼこ離れ」「常備薬離れ」「献血離れ」などがそうだ。
ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が解説する。
「何かの消費が低迷した時、企業の担当者やマスコミが安易に『若者の○○離れ』と言うことが多い。消費低迷の原因を若者に押しつけているようにも、“オレたちが若い頃はこうだった”的な自慢をしているようにも聞こえるので若者は反発します。そこで、それを逆手を取って、自ら『若者の○○離れ』を作り、揶揄しているのです」
若年層の交通事故が減ったという記事がマスコミに出ると「若者の交通事故離れ」という言葉が生まれた。以前、男性用ブラジャーメーカーが倒産した時、ある2ちゃんねらーが「若者のメンズブラ離れ」と書き、中川氏がそのことをネット上で記事にすると、たちまち広まった。広島東洋カープの赤松真人が肉離れを起こした時には「赤松の肉離れ」と書かれた。
「こうした揶揄の背景にあるのが既存メディアや既得権世代に対する反発、不信です」(中川氏)
「マスゴミ」という言葉が象徴するように、ネット上には大手新聞社、テレビ局などの既存メディアへの批判が渦巻いている。「若者の既存メディア離れ」という現象は冗談ではない。
※SAPIO2012年9月19日号