小泉今日子(46才)のデビュー30周年記念ツアー会場となった『ビルボードライブ東京』の入り口には、彼女を慕う芸能人たちから、たくさんの祝い花が届いていた。
8月23日の夜9時30分からのチケットは即日完売。客席には、小泉と同世代の女友達同士もいれば、母娘で来ている人、カップルもいれば、20代の男女というグループ、そしてなにより、小泉よりちょい上の男性ファンも多かった。
懐かしいナンバーを数曲歌った後のMC。ステージ中央の椅子に座ると、「私はとっても出不精なんですけど…」と明かし、最近心に残ったテレビ番組の話になった。
それは7月29日放送の『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。舟木一夫(67才)の特集だった。
昭和38年。舟木は詰襟姿でデビュー曲『高校三年生』を歌い、230万枚の大ヒット。橋幸夫、西郷輝彦とともに「御三家」と呼ばれ一気にスターダムにのしあがった。
しかしその後、信頼していたスタッフとのトラブルが続き、ヒット曲もなく、『紅白歌合戦』も落選。自殺未遂を図ったこともあった。
そして歌手をやめる前に、もう一度だけステージに立とうと思い、奮起。そのステージで、思いがけずファンに「おい、頑張れよ」と激励の声をかけられた。
「自分があってのお客さんではなく、お客さんあっての自分。ならば彼らのために歌を歌い続けるべきではないか?」
そう考え、同じ風景の中を歩いてきた同世代のファンのために、舟木は一生歌い続けることを誓った、というのが放送された内容だった。番組をふり返って小泉はこう話した。
「(番組では)ファンの人も出てきて、“あのとき、あの歌に救われた”とか、“この曲を聞いたら昔の思い出が蘇る”とか、言ってるわけですよ。そんな特集でね。これ見て私、昼間から大号泣しちゃって。
私もかつて、“飛ぶ鳥を落とす勢い”、なんて言われたけど、なんか、舟木さんとかぶっちゃって。しばらく歌から離れていた時期もあったんだけど…そうだ、私も、私を必要としてくれる、同じ世代の人たちに向けて歌を歌い続けようなんて思いましたぁ」
そう言って「生涯アイドル」宣言をした小泉に、会場からは大きな拍手が巻き起こった。
※女性セブン2012年9月13日号